登山後の楽しみに「温泉に入ること!」と答える方も多いのではないでしょうか。
私もその1人。
登山後は必ずと言っていいほど温泉に立ち寄っています。(温泉を求めて山に登ったことも…)
しかし、運動後にお風呂に入ると疲労回復や筋肉痛に逆効果なんて噂も聞きます。
せっかく、疲れを取ろうと温泉に入っているのに逆効果だったら嫌ですよね。
しかし結論から言うと、温泉に入浴するタイミングや入り方に注意したり、体の状態を見極めて入れば、疲労回復や筋肉痛の予防に温泉は効果的です!
- 温泉の効果と効能
- 登山後に温泉に入るメリットと疲れを取る温泉の入り方
- 登山後に温泉に入る時の注意点
これを参考に登山後に温泉に入って、登山の疲れと共に日々の疲れも取ってしまいましょう!
温泉は体にいい?温泉の持つ効果と効能
「温泉」という単語を聞くだけで、なんだか「体に良さそう」というイメージが連想されますよね。
実際に、温泉には様々な効果や効能があります。
まずは、温泉の効果や効能について知っておきましょう。
入浴の3つの作用
これは温泉のみならず、入浴した際に働く作用で、大きく3つの作用があります。
それぞれが体に働きかけることで、リラックス効果や疲労回復効果が期待できます!
①温熱作用
体温が上がると新陳代謝が活発になり、老廃物や疲労物質などが体外へ排出され、痛みの改善や疲労回復につながります。
②浮力作用
湯船に浸かると浮力の効果で体重が約9分の1まで軽くなるため、筋肉や関節にかかっていた負担が減少します。心身ともに緊張がほぐれ、だるさを感じにくくなるため、リラックス効果も期待できます。
③静水圧作用
水圧によって体がほどよくしめつけられ、マッサージされたような状態になり、むくみ解消が期待できます。また、全身浴の場合は、胸部(肺)が圧迫されることで呼吸の回数が増えるため、心肺機能が活発になって全身の血行が良くなります。
泉質による効果・効能
次は自宅のお風呂では得られない、温泉の特徴「泉質」です。
温泉の泉質は、溶存成分の種類や量によって分類されます。
日本温泉協会では、9つの泉質に分類されています。
泉質によって効く症状が違ってきます。
♨︎温泉の泉質のいろいろ
①単純温泉
溶存成分が1,000mg/kg未満の温泉です。温泉に共通する「一般適応症」として、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、健康増進があります。
②塩化物泉
溶存成分のうち、塩化物イオンが最も多く、1,000mg/kg以上の温泉です。塩分が肌に付着するので、保温効果や循環効果があります。また、切り傷や火傷、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病にも効果があるとされています。
③炭酸水素塩泉
溶存成分のうち、炭酸水素イオンが最も多く、1,200mg/kg以上の温泉です。炭酸ガスが溶け込んでいるので、血行促進や筋肉痛の緩和、疲労回復に効果があるとされています。
④硫酸塩泉
溶存成分のうち、硫酸イオンが最も多く、1,200mg/kg以上の温泉です。皮膚の角質を落とす効果があるので、美肌効果や切り傷や火傷の治癒促進に効果があるとされています。
⑤二酸化炭素泉
溶存成分のうち、二酸化炭素が最も多く、1,200mg/kg以上の温泉です。二酸化炭素が血管を拡張させるので、心臓病や高血圧の予防に効果があるとされています。
⑥含鉄泉
溶存成分のうち、鉄イオンが最も多く、1mg/kg以上の温泉です。鉄分は血液の材料となるので、貧血や月経障害の改善に効果があるとされています。
⑦硫黄泉
溶存成分のうち、硫黄イオンが最も多く、1mg/kg以上の温泉です。硫黄の臭いがあり、血液の浄化や神経痛の緩和に効果があるとされています。
⑧酸性泉
溶存成分のうち、水素イオン濃度がpH2.5以下の温泉です。殺菌作用があるので、皮膚病や婦人病の改善に効果があるとされています。
⑨放射能泉(ラジウム・ラドン泉)
放射能を多く含む温泉です。放射線を浴びることで、免疫力の向上や疲労回復に効果があるとされています。
引用元:日本温泉協会
温泉にはざっとこれだけの効果・効能があります。
私は今までこの効果を知らずに入っていたのですが、登山後に温泉に入ると「体の調子が良い」というには、これだけの理由があったようです。
特に、疲労回復や筋肉痛に効く泉質は「炭酸水素塩泉」と「放射能泉」の2つです。
泉質を気にして下山後の温泉を選んでみるのも良いかもしれませんね。
登山後に温泉に入るメリット
温泉にたくさんの効果や効能があることが分かったところで、次は登山後に温泉に入るメリットについて説明していきます。
温泉は身体面に良いだけではありませんよ!
疲労回復・筋肉痛の予防が出来る
登山後に温泉に入ったら「疲れが取れた!」「筋肉痛にならなかった!」なんて事を体感した方もいるかもしれません。
それは泉質の効果以外に、温泉(入浴)の作用の1つ「温熱効果」によるものです。
温泉に入り体温が上がることで、新陳代謝が活発になるので、老廃物や疲労物質などが体外へ排出され、痛みの改善や疲労回復につながるのです。
ゆっくり浸かるだけでも良いですが、セルフマッサージをすることでさらに疲労回復効果を得ることができるでしょう。
温浴と冷浴を繰り返す「交代浴」をすると疲労回復効果UP!
普段あまり運動をせず、週末に登山へ出かけるという人は、筋肉を使いすぎて炎症を起こしている可能性があります。
温泉に水風呂がある場合は、温浴と交代で入ることで、スポーツで聞き馴染みのある”アイシング”の効果を得ることが出来ます。
「水風呂に全身浸かるのは苦手」という方は下半身だけでも冷やすと、疲労回復効果を感じられますよ。
リラックス効果を得られ、ストレスが軽減する
温泉の効果は身体的な面だけでなく、心理的な面にもあるでしょう。
先ほど「温泉の効果・効能」でも説明したように、入浴することで働く浮力の効果で体重が約9分の1になる「浮力作用」により、筋肉や関節の負担が減り、心身ともに緊張がほぐれ、だるさを感じにくくなるため、リラックス効果が期待できます。
また「転地効果」と呼ばれる、日常生活を離れいつもと違う環境に身を置くことで、五感が刺激され、呼吸や消化などを司る自律神経の中枢に作用し、心身が元気になったり、リラックス効果を得られると言われています。
登山×温泉でダブルのストレス軽減効果が得られて、日々のストレスから解放されますよ!
旅行気分が味わえ、その土地・山をより深く知れる
山の近くの温泉では、露天風呂でも内湯でも山が見える温泉も多いことでしょう。
その日登った山が見えると、山の全貌が知れたり、「自分はあんな所登ったんだー」と感慨深くなれます。
また、山の写真や歴史がされている温泉やその土地の名産品が置いてある温泉もあります。
登山に温泉を+αするだけで一気に旅行気分になり、充実した休日になるでしょう。
もちろん、日帰り入浴でも良いですが、少しもったいない。
下山後は温泉宿での宿泊をおすすめします!
温泉に入り美味しいご飯も食べることで、しっかりリフレッシュ出来ることでしょう。
登山後に温泉に入る時の注意すること4選
温泉にはたくさんのメリットがありますが、何も考えずに入っただけでは、温泉のメリットを受けられないかもしれません。
逆に、間違った入浴法や体の状態を見極めて入浴しないと、状態を悪化させる恐れがあります。
これが、ほかで「登山後に温泉に入ったら逆効果」と言われている所以です。
しかし、ちゃんと注意して入浴すれば、温泉の恩恵を受けることが出来るでしょう。
登山後に温泉に入る際の注意点は以下の4つです。
- 登山後30分程度は入浴を避ける
- 熱めのお湯に長時間浸かるのは注意
- 日焼けしたら入浴は控える
- 入浴の前後に水分補給を忘れずに
①登山後30分程度は入浴を避ける
運動後は、負荷がかかった筋肉に血液が多く集まって疲労回復を促しています。
しかし、運動直後に入浴すると、本来は負荷がかかる筋肉に集まるはずの血液が全身へ巡ってしまい、酸素の供給や疲労物質を排出する機能が低下して、かえって疲労回復が遅れる原因になるのです。
ですので、疲労回復・筋肉痛の予防を目的に温泉に入る場合は、下山後30分程度は休憩してから入浴しましょう。
②熱めのお湯に長時間浸かるのは注意
お湯の温度が高すぎると、血管が収縮して血圧の変動が大きくなる恐れがあると言われています。
そのため、運動後に熱めのお湯に入ると、蓄積している疲労物質の排出が遅くなるのです。
42度以上の熱い湯に長時間入ると、交感神経が高ぶり、血圧と脈拍が上昇して、筋肉の硬直を招くこともあるとされています。
運動後に入るお湯の温度は40℃くらい、時間は10〜15分が理想です。
これにより副交感神経が優位になり、血圧が下がって筋肉も緩み、血管も広がって血行が良くなるので、疲労物質の排出も促されると言われています。
行った温泉に熱い風呂しかない場合は、時間を短くしたり交代浴をしたりと、工夫するといいでしょう。
③日焼けしたら入浴は控える
登山後に温泉に入ったら、皮膚がヒリヒリしたことがある人も多いのではないでしょうか。
その原因は”日焼け”による皮膚の炎症です。
日焼けした肌は温めると、皮膚が刺激を受けて、さらに炎症を悪化させる恐れがあります。
火傷や美肌に効く泉質(塩化物泉・硫酸塩泉)もありますが、症状があるうちは入浴を控えるべきでしょう。
日焼けをしてから最も症状が出るのは、6〜24時間後と言われています。
そのため、温泉に入るときではまだ症状が出ていないこともあります。
なので、症状が無くても登山で「けっこう日に当たったな〜」と思った時は、温泉は控え、大人しく家に帰り患部を冷やしてから、ぬるめのシャワーやお風呂(35〜37℃)で軽く汗を流しましょう。
登山後の温泉に入るためにも、日焼け対策は必要です。
「登山の日焼け対策4選と日焼けしない肌になるアフターケアの方法まとめ」で登山の日焼け対策について詳しく解説していますので、こちらもお読みください。
④湯あたりに注意。入浴の前後に水分補給を忘れずに
温泉に入ると「湯あたり」を起こすことがあります。
湯あたりとは、温泉に長い時間入ることで、脱水症状や熱疲労を起こすことです。
せっかく温泉に来たんだからと長風呂をするのはやめ、10〜20分程度の入浴にとどめましょう。
また、登山ではたくさんの汗をかくため、しっかり水分補給をしていたとしても軽い脱水症状になっている場合もあります。
そのため、長風呂をしなくても脱水症状が悪化して体調を崩す場合があります。
ですので、温泉の入浴前・後には経口補水液やスポーツドリンクなどでしっかり水分補給をしましょう!
まとめ
以上で、登山後に温泉に入るメリットと注意することのご紹介でした。
登山の後に入る温泉のメリットは知っていただけたでしょうか?
- 「温熱効果」や「交代浴」で疲労回復や筋肉痛の予防になる
- 「浮力作用」や「転地効果」でリラックス効果が得られる
メリットがある一方で間違った入浴法をしてしまうと、体の状態を悪化させてしまう逆効果になってしまいます。
- 登山後30分程度は入浴を避ける
- 40℃のお湯に20分まで
- 日焼けをしたら温泉は控える
- 入浴前・後はしっかりと水分補給をする
この4つの注意点をよく覚えておき、登山と一緒に温泉も楽しみましょう!
おしまい!
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