3ヶ月の山小屋アルバイトを終えた私。下界に降りてきて、ふと…
「さて、次の登山はどこへ行こう」(完全なる登山中毒者)
夏はひたすら北アルプスに籠もっていたので「違う山域がいいな」「紅葉が見たい」…そうだ、東北に行こう!と秋の東北へ向かうことに。
東北はまだ登ったことのない山が多く迷いに迷った結果、時間に余裕があるうちにアクセスが困難でコースタイムも長いと噂の飯豊山(2105m)に登ってきました。
紅葉はもちろん、飯豊山といえばの稜線美に加えて岩場や沢など進むごとに異なる景観が良く、山の魅力を全て持ち合わせたと言っても良いほどの山でした!
コースタイム・ルート紹介
飯豊山は山形・福島・新潟の3県にまたがり、登山口も各県に存在します。
今回は飯豊山頂への最短ルートと言われている「大日杉登山口コース」を利用しました。
2時間55分
2時間40分
2時間10分
往復50分
1日目コースタイム:8時間35分
駐車場情報
- 名称:大日杉登山口
- 住所:山形県西置賜郡飯豊町岩倉640
- 駐車可能台数:30台ほど
- 料金:無料
- トイレ:あり(和式、水洗ではない)
- その他:コンビニや飲食店は30分ほど離れた場所にしかありません。
2022年10月12日(水)
家を夜中に出て約6時間の運転を経て大日杉登山口に到着した。アクセスが困難な山とは聞いていたけど登る前からきちぃぜ、飯豊山よー!
あまりにも運転が疲れたので1時間寝てからの出発。時刻は7:50とかなり遅め。避難小屋で泊まるとはいえコースタイムが長いから頑張って登らないと暗くなっちゃいますね。
入口は進入禁止標識のある橋を渡って行きます。
橋を渡った左手には大日杉小屋があります。
こちらはハイシーズンには管理人が常駐している小屋です。
年間を通して屋外トイレとピロティーが利用出来るのでここでトイレを済ませていきましょう。大日杉小屋の詳細はこちらから。
橋を渡った右手には小さな小屋が一軒。登山届記載所がありますので、書いてから登りましょう!
登山道は記載所の左奥に伸びている道を行きます。大日杉小屋の近くにも登山道が伸びていますがあまり入られていないだろうし遠回りになるのでやめておいた方が無難です。
樹林帯を登ること10分にして鎖のお出ましです。地面は岩場になっていますが登りには鎖の必要性を感じませんでした。
ただ雨で濡れていたり、下りの時は補助的に使えるので助かります。
ここの登山道はざんげ坂というらしい。
今までの過ちを悔い改める言葉をぶつぶつと呟きながら登りましょう(嫌だしそんな過ちを犯したことはありません笑)
御田に到着。
何にもない少し開けた場所かと思っていたが、来た道を振り返ってみるとものすごい大きさの杉がそこにはあった。
樹齢何年なんだろう。スケールが東北らしいです。
地蔵岳までは登りが続きますが緩い登りがだらっと続いているだけなのであまり疲れません。
上に来ると少し葉が色づいていました。
9:43、地蔵岳に到着。
標柱はここにありますが山頂は15歩ほど登った場所にあります。ガスガスだったので今日はパス、下ってきた時に晴れていたら寄ろうかと思います。
すっかり秋色の飯豊山。紅葉を狙ってきたけどこれは期待出来るかも。
地蔵岳からの登山道は多彩でこういった高い笹が覆いかぶさる道もあります。
こういう道、探検心をくすぐられるから大好きなんだよなー。東北の山は一般ルートでもこういう道が多いような気がします。
紅葉を愛でながら歩いているとガスが取れて向こうの山が見えてきた。
紅葉も良さそうでテンション上がる!
東北、特に飯豊山は雪深い地域だからか森林限界が低く、道も開けてきて独特な雰囲気の場所を歩いていく。
ここもそう。私が沢のある場所が好きって言うのもあるけど、奥地にある動物達のオアシスのような雰囲気があって良き。少し黒部源流の雰囲気に似ている感じがした。
稜線を売りにしている山だったと認識していたが、魅力が詰まっている。
切合小屋間近、笹の根?茎?が地面を覆いとても歩きにくい場所がありました。足元よく見て足上げて歩かないと引っ掛けるので気をつけてください。
12:12、切合小屋に到着。
夏季シーズンは管理人さんがいて食事も提供してくれる山小屋。シーズン以外は避難小屋として開けてくれているようで、管理人がいるからか比較的綺麗めな避難小屋でした。
トイレも外にあり水洗(夏季限定)と非水洗に分かれていました。
本当に東北の山のイメージが覆るくらい整備されている。アクセスも困難だしコースタイムも長い山だけど、安心安全に登れる山だと思った。
切合小屋から今から登る道が見えるが気持ちよさそう!なんかこんもりしているね。
ここら辺の紅葉は赤色も多く見事でした。赤黄以外にも草紅葉の茶色、笹の緑とカラフルで楽しませてくれる。
ちなみに足元はザラザラの岩、濡れているとちょっと滑るので気をつけて。
紅葉の山を登り切ると草履塚に到着。切合小屋から見えていたのは飯豊山ではなかったね。
一旦降って姥権現という場所、来た道を振り返るとガスがいい味を出していた。
ガスガスは嫌いだけど、少し切れて景色が見えると写真的にも良いし歩く活力が湧きますよね。
あと石化した姥がいました。(飯豊に伝わる伝説のようです。)
少し進むと見えるは岩山!?
ここは御秘所という場所らしく地図上にも「岩場」と書いてありました。
遠くから見ると恐竜の背中みたい!あそこを登ります。
上はこんな感じ(ヒョエー!)
岩はしっかりしており、ステップや掴まる所もいっぱいあるし鎖も設置されていたので落ちることは無いと思いますが、右側は切れ落ちていたので高度感は感じました。
ちょっと怖いなって思う方は左から登ると傾斜も緩いのでいいかもしれません。
岩場を過ぎると日差しが入ってきて草紅葉がキラキラと揺れていた。秋、好きだ。
最後の踏ん張りどころ、少し急ですがこれを登り切ったらもう間も無く小屋に到着です。
振り返ると…またガスが良い感じよ。
登り切ったら小屋の前にテント場がありました。
今日は一張りのみのようです、貸切ですね。
テント場の所で分岐して水場に行く道があります。
夕食用の水が無かったので汲みに行こうと思ったのですが、なかなかに険しい道w
この岩を越えたら100mくらい降ると水場になります。
ここまでくる道中(御田の辺りと地蔵岳と切合小屋の中間)にも水場があったけど、どちらも汲みに行くのが大変らしいから見に行かなかったけど、ここも少し大変でした。
でも、水をたくさん持ってくるよりかは楽でしょう!
水道管が設置された水場でした。美味い。
ちょろちょろちょろっと水量は多くなく、1リットル溜めるのに1分半~2分ほどかかりました。
水を汲んで今日の宿泊地の本山小屋に向かう。
目の前に現れた小屋、カッコ良すぎないか!?ゲームの世界とか海外のお城とかの世界観よ。
というわけで無事14:13に本山小屋(飯豊山避難小屋)に到着しました!
5時間ちょっとと時間的には短いけど、距離は10キロあり切合小屋からアップダウンがあり思ったより疲れました。
本日の寝床を作るため中へ入るとすでに6組ほどの登山客がいました。
中は撮影禁止のようなので写真はありませんが、こちらも夏季は管理人さんがいるようで比較的綺麗でした。
2階建てで50人泊まれるらしいのですが、せいぜい30人くらいじゃないか?という広さです。
寝床の準備も完了して再び外へ。
小屋の隣に神社があったので無事登れたことを伝えて飯豊山山頂に向かいます。
向かうはこちら!
これが見たかったのよ!歩きたかったのよ!
飯豊連峰の稜線の本気がやっと現れました。準備して外に出た時にはガスがほとんど取れていてくれたのでタイミング的にも申し分無し。
奥に聳えるは飯豊連峰の最高峰である大日岳(2128m)です。
今回は飯豊連峰を代表するような名前である飯豊山に登っておけば間違い無いだろうと思い、最高峰とはいえあまりマークしていなかった大日岳。
あまりのカッコ良さに登りたい気持ちがふつふつと湧いてきたが、一旦落ち着こう。
3日前に山小屋から降りてきて筋肉痛が治っていなく、それを庇って変な歩き方をしていたのか途中で左足を攣ったので無理は禁物だ。
見るだけでも充分に魅力を味わいました。
景色を堪能しながら歩くこと25分、飯豊山(2105m)に到着しました!
これで日本百名山は37座目。結構行ったのかまだまだなのか…
とりあえず!山頂から広がる大日岳への稜線が圧巻でした。
今年はずっと北アルプスにいたので、こういうたおやかな景色・優しい雰囲気のある稜線は久しぶりに見た。
山域だけじゃなく山1つとっても全く違う顔をしているから登山はやめられないんだよね。
今度来る時は絶対にあっちの方を歩こうと決めた。
あまりにも大日岳方面が綺麗すぎて周りの山々の写真も撮ってないし記憶も危ういんだけど、ダイグラ尾根かな?
紅葉も綺麗だったしガスがあって画になってたな~。
寒くもなってきたし戻ろうと振り返ると、また小屋が画になるのよ。まさしく天空の城、すごい所に建ててくれましたね。
小屋に戻り寒いけど外でプシュッ!山で飲むビールは美味い!!
だいぶ陽が落ちてきた。ここからは登ってきて泊まった人だけの特権。
贅沢なショーは時間にして20分ほど。寒さに凍えながらも見た景色は格別だった。
今までは日帰り登山が多く夕日を見る機会は少なかったが、小屋で働いてて毎日見る夕日がなによりも感動的だったので、これからは泊まり登山を増やそうと思って来た最初の登山。最初から大当たりだったね。
夕日が落ちたらご飯を食べて19時にはぐっすりでした…。
2022年10月13日(木)
2日目
日の出を期待して外に出てみると、少し明るくなっているものの上空を雲が覆っていた。
まあ2日ともうまく行くことはそんなにないかー。
下山するだけなのでご飯を食べてからゆっくり出発。来た道を帰ります。
すっきりとした晴れではないけど、遠くまで見えるのでgood!こんなところ歩いて来たんだと振り返られるのが良いですわ。
御秘所の岩場、反対から見るとやはり左側は明らかに危ないですね笑
岩場を楽しんでいると羽音がして見てみると、ホシガラスか!
最近よく見るけど「なんかポケモンにいそうだな」って思うのは私だけでしょうか。
そしてこちらはモグラ。
土の上に出て来て冷たくなっていました。多分死因は凍死。だって霜はってたもん。
昨日はガスっていて見えなかったが飯豊山の全貌が見えた。改めて大きな山塊だと感じさせられる。
アクセスが困難と聞いて今まで遠ざけて来た飯豊山だったけど来れて良かった。
帰り道、こんなに鮮やかだったっけというほど紅葉が綺麗だった。やっぱり光によって全然色味が違って見えますね。
今年の北アルプスの紅葉があまりにもひどッ…ので綺麗な紅葉が見られて良かった。
場所は飛んで地蔵岳まで戻ってきました。
昨日行かなかった山頂に登ってみると、雄大な飯豊連峰が見えました!
分岐からほど近いので是非立ち寄ってみてください。
そんなこんなで無事に下山してきました。下山届もお忘れなく。
山形・福島・新潟の3県にまたがる東北の大山塊「飯豊連峰」
紅葉を求めて来たこの山行。紅葉はもちろんのこと稜線美、岩場や沢などたくさんの魅力が詰まっており夕方にはアーベントロートのご褒美まで頂いて大満足の山行でした。
アクセスが困難でどこから登ってもピークが遠いことで知られていた為に少し敬遠していましたが、「なんで今まで来なかったんだ!」と後悔するほど良い1座でした。次は大日岳の方まで行ってみたいなと思っています。
皆さんも是非登ってみてはいかがでしょうか。
以上、おしまい!
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