谷川岳・西黒尾根、烏帽子岳・ブナ立て尾根に並んで日本三大急登に数えられる甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根
登山を始めて4年が過ぎた頃だろうか、「黒戸尾根を日帰りで登る人がいる。それはものすごくキツイものだ」と知ったのは。
いつかは自分も登ってみたいなと思っていた。
なかなか南アルプス自体に訪れることがなく2年が過ぎて2022年の今日、挑戦することになった。
というのも先日、日向山に登ってみた甲斐駒ヶ岳があまりにもカッコよく「コレは登らなければ」と決意したからだ。
標準コースタイムを調べると脅威の14時間30分!!
日帰りでこの長さは初めてだったので驚いたが、他の登山者のログを見てみると10時間ほどで登っている人が多かった。
なので私は10時間を切ることを目標に甲斐駒ヶ岳へ向かった。
駐車場情報
2022年6月9日(木)
まさかの2時間寝坊…幸先悪い挑戦の1日が始まる。
5:45出発、頑張るぞ!
古い建物「売店尾白」があります。ここはもうやっていません。
甲斐駒ヶ岳の表記はないですが、尾白川渓谷の方へ進みます。
尾白荘、もう営業していなさそう。
甲斐駒ヶ岳は富士山とともに古くから人々が信仰の対象としてきた霊山、その麓にあるのがこの駒ヶ岳神社です。
大きな杉に囲まれた朝早くの神社は、清々しく静かで神聖な雰囲気がありました。
拝殿を左に抜けると名水百選にも選ばれている尾白川にかかる橋があります。
ここが甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根の入口になっています。
上から尾白川を見下ろす。川底まで見えるほど綺麗!
降りてきたら入りたいな。
橋を渡ったらすぐに雰囲気は一変、登山道が始まります。
最初からアクセル全開の坂道、基本的にこの登りがずっと続きます。
上から見るとこんな感じ。
写真だとちょっと分かりづらいですが、九十九折りの坂になっています。
直登よりは楽だけど…最初からコレは大変よ。
歩くのに疲れたらそこにある自然に癒される。
黒戸尾根上部にある七丈小屋までほぼ樹林帯になっていて、景色や花など視覚的に楽しめるポイントは少ないです。
でもカメラをやっていて、光が当たっているところだったり影にあるキノコだったり、細かい所まで見る目が育ってきたように思う。
こうすると一見地味な樹林帯歩きも楽しくなる。
時々出てくる平坦な道、コレがとてもありがたい。(でもほぼ登りです)
木々の合間から隣りの山が少し見えた。
晴れ予報だったけどガスが多い、上の方は晴れていると期待して歩を進める。
だんだんと道が荒くなってきました。
今朝まで雨が降っていたのか、ぐちょぐちょののところもあり足が取られる。
足が取られると無駄な筋力を使うから疲れるんですよね。
さすがは霊山、至る所に祠や石碑があります。
これは最初の祠。
ガスの中にツツジが咲いている。
時期が違ったらこの登山道ももっと花が咲いているのかなぁ。
ここは最近直していたところ?味がある階段になっている。
ガスの森は綺麗である。
笹の平分岐に到着。
結構体力を削られてのこの看板、ここから7時間もかかるの!?
引き続き同じような坂道が続くが景色は変わり笹原になる。
なんか熊が出そう。
笹原を登り切るとゴロゴロっとした岩が出てきます。
すると現れ出るのが通称「刃渡り」
鎖も足場もしっかりしていたので慎重に歩けば全く危なくは無いです。
周りがガスっていたから高度感も無かった。景色が見えれば怖いのかな。
ここは黒戸尾根でも貴重な景色が見れる場所らしい。
上は青空が見える。
鎖のついた区間が終わってもちょっとだけ岩の上を歩きます。
こっちの方がバランス崩すと危ないぞ!?
景色を見ることは出来ず、また樹林帯に入っていきます。
花を見て癒されているのも束の間、登山道はさらに険しさを増します。
刃渡りに次いでよく見る梯子…階段?
目の前に来てみるとだいぶ斜度があり四つ這いにならないとキツイかも。
高度感もたっぷりです。
梯子を登り切ると刀利天狗の祠があります。
天狗様がいるのかな。
木のトンネルだ!
根が出している状態なのかな、とても不思議。
上の方からは新しい木が生えているし…自然って面白いね!
今まではずっと上り坂だったが1箇所下り坂があります。
100mは降らされ「今まで頑張ってあげた標高が~(泣)」となります。
降り切ると広場に出ます。
資材置きと祠、どういう組み合わせだ。
降ったらまた登る。この標高上げが登り始めは歩いてだったがここら辺はもうよじ登る感じ。
ちゃんと調べないできたけどこんな急だったのね。
上から見ると一気に登ったのが分かります。
修験者の道、よくこんな登山道を作ったよな。
甲斐駒ヶ岳には祠や石碑以外に刀があるのも有名です。
同じような写真が続いていますが、実際同じような道が続いています。
キツイ梯子の連続が終わると七丈小屋に到着。
小屋の規模は小さい方ですがしっかり売店などあります。
ここまでほとんど休憩するような場所が無かったので一安心します。
水は100円なり。南アルプスの天然水、なのかな?
コーラやポカリスエットが冷やされています。
飲みたいが今は我慢、山頂に向かいます。
トイレやテント場もある七丈小屋ですが場所は少し離れ、どちらも山頂方面に向かえば通ります。
トイレ、ヘリコプターを使ってし尿を運んでいるので利用料200円をしっかり払って利用しましょう。
第二小屋
5分ほど登ってテント場、さらにまた登ってもう一つテントを貼れる場所があります。
ここまでテントを背負ってくるの大変そう。
テント場を過ぎると雪が出てきます。
3箇所くらいあったがどれも10m位と短くチェーンやアイゼンは必要なかったです。
降りは滑ったけどね(笑)
上には青空が広がる、このまま晴れてくれ!
ここまでくると樹林帯を抜けるとハイマツとシャクナゲ帯になり空が広くなります。またガスってしまったんですけどね。
晴れていれば綺麗なんだろうな~。
あと、シャクナゲが満開になったら結構綺麗なんじゃない?
歩いている最中は全く地図を見ていなかったので、ガスの中に「なんか大きな物が見える、あれが頂上か!?」と思ったのですが、違いました。
かなり疲れ先ほどの石碑の裏で休憩していると、山頂方面のガスが少し取れてチラリ…異様な風景が目に入った。
コレが甲斐駒ヶ岳かと思い知らされた。
また歩き始める。
過酷さはさらに増して、岩場が続きます。
足場やホールドはたくさんあり登りにくくはないですが、疲れた身体に大きな動きは結構くる。
花に癒される。
鎖が付いている場所もあります。ありがたいですね。
けれど、ステップが少し後傾になっていて滑りやすいです。
ここの雪が少し怖い。距離は5歩ほどと短いが、右に落ちれば谷底です。
枝を頼りに渡りました。
足の次は腕力、全身を使わせる登山道ですね(笑)
疲れるけど嫌いじゃないです。
時々ガスが切れ見える景色が南アルプスのかっこよさを垣間見させる。
全景を見せてもらいたいな。
あれが山頂か?すごい場所だ。
岩の墓場のようだ。
岩場を登り切ると駒ヶ岳神社本社がある。
山頂まで残り5分、日向山のように白砂の地が広がる。
11:03、甲斐駒ヶ岳(2967m)に到着しました!
登りで5時間20分もかかったよ、キツかったー!!
見ての通り景色は全く見えません。晴れ予報だったのに残念、雨が降られないだけマシかな。
山頂は結構広いようです。
南アルプスの中でも一際険しい鋸岳への入口。
鎖場、ガレ場と危険箇所がいっぱいあるらしい、いつかは行ってみたい。
黒戸尾根以外に甲斐駒ヶ岳へ登る道、北沢峠への看板。
人気ルートであり黒戸尾根より楽に登れる。そして、北沢峠からはお隣の日本百名山・仙丈ヶ岳(3033m)へも行ける。
今度、甲斐駒ヶ岳に来る時はそちらから登ってみよう。
太陽は見えるけど風があまり吹いていなく、ガスが取れる見込みがないので下山します。
登りで5時間20分使っちゃったから5時間以内で降らないと目標の10時間は切れません。
基本降りだから遅れることは無いだろうけど…安全第一で行きます。
登ってきた岩場はこんな感じ、段差が大きいで足を目一杯伸ばしたりちょっとジャンプしながら降っていきます。
帰り道、小屋にて真鍮製の黒戸尾根キーホルダーを記念に買った。
あまりこういうのは買わないんだけど辛かった記念にね(笑)
刃渡りまで降りてくると晴れてるやつ!(中腹バージョン)
晴れていると下が見えて少し怖いですね。
横を見ると仙丈ヶ岳?が見えました。
でも甲斐駒ヶ岳はガスの中のよう、また来るね。
尾白川まで戻ってきました。
川の音が涼しい。後で水浴びしに来よう。
まずは時間記録のため駐車場まで戻ります。
無事帰って来ました。
記録は…8時間48分!!目標を大幅更新出来ました、嬉しい!
今回は気温も快適、景色も見れずに立ち止まること進んだなど色々な要素が合わさってのことだと思うけど、それでも9時間も切れたのは自分の体力などに自信がつきました。
今度は景色がよく見える天気で挑戦したいな。
目標も達成したのでサンダルに履き替えてルンルン気分で川に向かいます。
さすがは名水百選の選ばれた川、とても綺麗。
疲れた足をしっかりと冷やしていただきました。
甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根
日本三大急登の一つだけのことはある、最高に厳しい登山道でしたが登り切った時の達成感は他の山ではなかなか感じられないものがありました。
とてもキツいですが、登山をしている人なら一度は挑戦してみるのも良いかもしれません。
甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根 日帰り登山 / びっきーさんの甲斐駒ヶ岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
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