ポイズンリムーバーは意味ないって本当?知っておきたい正しい使い方と登山におすすめのアイテム【スズメバチやヒルの応急処置に】

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早速ですが、虫に刺された時ほど不快なことはありませんよね?

不快と聞くとかゆみを引き起こす蚊を想像するかと思いますが、登山では人を不快にさせる生物がたくさんいます。中には痒みだけでなく、辛い痛みを引き起こす原因になる虫も。

そんな時に応急処置として使われることが増えてきたポイズンリムーバー。毒液や毒針を抽出することが出来る器具で、かゆみや痛みといった症状を和らげる効果があるとされ、もしもの時に備えている人も多い製品です。

しかし、「ポイズンリムーバーは“意味ない”っていう情報を見るよ」という人もいて、正しい情報が分からない製品でもあります。

そこで今回は、なんでポイズンリムーバーは「意味無い」と言われているのか、どんな虫に効果があるとされているのかを説明しつつ、登山に持っていきたいおすすめのポイズンリムーバーをご紹介していきます!

目次

ポイズンリムーバーは効果あるの?

虫刺されのファーストエイドとして、登山界隈でも徐々に浸透してきているポイズンリムーバーによる毒の吸引がありますが、「本当に効果あるの?」「意味ないんじゃない?」という声が多く挙がっています。

結論から言うと、刺された(咬まれた)虫、刺されている時間や深さによって効果は変動する、というとても曖昧なものになります。

検索エンジンで「ポイズンリムーバー」と入力すると「意味ない」というキーワードが上位で関連検索されており、買おうか迷っていたところをさらに不安にしてきます。

意味がないかは別として、ポイズンリムーバーは医師によっても賛成派と反対派が分かれるアイテム。効果を実証するデータがない点も、意見が分かれる理由になっています。

医師が反対する理由には以下の点が挙げられます。

ポイズンリムーバー使用に反対の意見
  • 吸い出せる毒液(物質)はごく少量で、症状を無くすほど除去するのは不可能
  • 特に咬み傷に使用した場合は、怪我を悪化させる恐れがある

②に関しては後ほども紹介しますが、アメリカの権威ある医学団体が出したファーストエイドガイドで「ヘビに噛まれた時には吸引しないように」と提唱されています。

①は、毒虫や吸血昆虫の刺した(咬んだ)深さや時間によって体内の毒の量は変わってきますので、実際に製品を使用して、血液中の毒の量を調べてみないとわからないところ。

これを研究するには刺された直後に検証することと膨大な量のデータが必要になるために、現在でも研究データが無く、効果が不明瞭な所以であります。

A社製ポイズンリムーバーにはこんな口コミがありました!

薬をつけても、蚊に刺されたかゆみは治らないのですが、ポイズンリムーバーを試したら、かゆくなりませんでした!
蚊に刺されたあと直ぐに吸えば完璧、膨らんできていても掻く前なら痒みは無くなります。
仕事上ハチに毎年刺されますが、いつもパンパンに腫れるところ、今年はポイズンリムーバーのおかげで、全く腫れませんでした。

実際に使った人からは「効果あり!」「かゆみがほとんどなくなった!」など、効果を実感する声も多くみられます。

しかし、これらは個人の所感であり、科学的に痛みやかゆみが減少したのかは解明されていません。

このように、ポイズンリムーバーの効果は未だ分からないところが多いですが、医師の治療を受ける前にやる応急処置としては有効でしょう。

毒の抽出、やらないよりはマシ!

ポイズンリムーバーはどんな虫に効果あるの?

山で遭遇する虫で、ポイズンリムーバーを使用して効果があるとされているのは以下の通りです。

ポイズンリムーバーで効果があるとされている虫

蚊、アブ、ブユ(ブヨ)、スズメバチ、ムカデ、ヒル

ポイズンリムーバーは、日本の山で出会う毒虫や吸血昆虫のほとんどに対して効果があるとされています。

毒液や毒針を吸引作用で抽出する器具ということで、蚊やスズメバチなどに使用するのは想像できるかと思いますが、登山時特有の生物“ヒル”に対しても効果があります。

ヒルは吸血の際にヒルジンと呼ばれる血液を固まらなくさせる成分を出しながら吸血するため、血が止まらなくなり処置せざるを得ないのが特徴です。ポイズンリムーバーを使用することでこの成分を取り除くことができ、血が止まりやすくなります。

出典:Wikipedia

毒といえば、ヘビが浮かぶ方も多いかと思います。

「アメリカ心臓協会(American Heart Association)」と「アメリカ赤十字社」が作成した「ファーストエイドガイドラインによると、毒ヘビに噛まれた場合、その毒は即座に体の組織中に広がるため、吸い出しても量は少量で体内から除去することはほぼ不可能としています。

また、蛇の咬み傷を悪化させる恐れがあるので、吸引器での吸引は行わないでくださいとも言われています。

ヘビに噛まれた際は、まず「咬まれた傷口より心臓側を布などで軽く縛る」ことを優先して行いましょう。

詳しくはこちらをご覧ください。

登山ではマダニによる被害も少なくなく、ポイズンリムーバーは効果があるのかと、疑問の声が上がることが多い生き物の一種です。

マダニは皮膚に咬みつき、セメントのような物質を出して張り付きながら吸血してきます。

これを無理に引き剥がそうとすると、マダニの口器が皮膚内に残り、かゆみが長期間続いたり感染症のリスクが高まる恐れがあります。

噛まれてから発見が早い場合は、ポイズンリムーバーでも除去できる場合がありますが、口器が皮膚内に残る恐れがあります。また発見が遅れた場合はセメント物質により強固に固着しているので、ポイズンリムーバーでは取れません。

いずれにせよ、マダニに噛まれた際のポイズンリムーバーの使用は効果がない、と言うより控えた方がいいでしょう。

マダニはピンセット専用器具で取り除くことが出来ますので、マダニの多い山域や藪の中を歩く際は、これらを持っていくことをおすすめします。

マダニを除去した後は比較的早く治癒することが多いので、こちらもポイズンリムーバーを使用する必要性は低いでしょう。もし、かゆみが残る場合はマダニの口器が皮膚内に残っている可能性があります。その場合は医療機関を受診しましょう。

ポイズンリムーバーの原理と使い方

ここまでポイズンリムーバーの効果についてお話ししてきましたが、ポイズンリムーバーとは一体どんな製品なのか知らない方もいるかと思うので、簡単に製品の説明と使い方についてお話ししていきます。

出典:Amazon

ポイズンリムーバーとは、その名の通りポイズン(毒)をリムーバー(取り除く)アイテムです。

痛みやかゆみの原因となる毒、唾液腺物質を持った生物に刺された時に使用し、吸い込み口であるマウスピース(カップ)を傷口に押し当て、レバーを引き上げる(もしくはピストンを押す)ことで、毒液や毒針を吸引することが出来ます。

原理は注射器の反対だと思っていただけると、分かりやすいかもしれません。

出典:Amazon
ポイズンリムーバーの使い方
STEP
マウスピース(カップ)を傷口にあてピストンレバーを引き上げ約60~90秒間そのままにしておきます。
STEP
皮膚の表面はカップ内に吸引され、毒液の抽出を行う。時間が経ったらピストンレバーを初めの位置に戻して吸引を終了します。
STEP
引き続きこの吸引作業を3分以上繰り返して毒液を抽出します。

製品によって多少異なる部分はありますが、大体がこのような使用法になります。

これに加え、咬まれたり刺されたりしたら、遅くとも2分以内に「ポイズンリムーバー」を使用することが望ましいと推奨されています。2分以上経つと、体内に成分が回ってしまい抽出が不可能となります。

刺されたら迅速に対応することが必要ですが、取り乱していたり使い方を知らないと効果的に使うことが出来ません。すぐに使えるようザックの取り出しやすいところに入れておき、購入後は1度試して使用法を確認しておくと良いでしょう。

ポイズンリムーバー使用後は、皮膚表面に毒液がついている状態なので、水で患部を洗うか、ウェットティッシュで抽出物を拭き取るりましょう。

登山におすすめのポイズンリムーバー

ここからは登山に持って行きたいポイズンリムーバーをご紹介します。

とは言っても、登山では使用頻度が少なく、虫除け対策をしっかりしておけば使わないことがほとんどでしょう。

そのため、登山で持っていくポイズンリムーバーは軽量でコンパクトなタイプがおすすめです。

ポイズンリムーバーの操作にはピストンを押し下げるタイプと、レバーを引き上げるタイプの2種類があります。

ピストン式は、吸引力が高くしっかり毒液を吸い出せる点がポイントです。しかし、サイズが大きめな商品が多くかさばることと、ピストンを押すのにある程度の力が必要なため、1人での処置が難しいのが登山ではデメリットです。

レバー式は、ピストン式とは反対に吸引力は弱めですが、女性や子供でも扱いやすい操作性のものが多く、コンパクトで軽量なのが特徴の商品が多くなっています。吸引力が弱いからといっても、十分に毒液を抽出ことはできます。

登山に持っていくものとしては、必然的にレバー式のポイズンリムーバーが多くなるかと思います。

ここではレバー式のポイズンリムーバー3アイテムを紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

TIGER
ポイズンリムーバー SUCTION-X

レバー引き上げタイプのポイズンリムーバー。子どもの力でも簡単に吸引できるにも関わらず、後が残るほどの吸引力がありますので、十分に毒液が抽出できます。

吸引ロック機能が付いているので、二次処置が同時に行えるのがポイント。

重量13gと携帯しやすいコンパクトなサイズで、登山に持って行きやすいアイテムです。収納袋は付属していないのでご自身で用意して、エマージェンシーキットに入れておきましょう。

Dr. Hessel’s(ドクターヘッセル)
インセクトポイズンリムーバー

シンプルなデザインと小型で軽く、持ち運びに便利なDr. Hessel’s(ドクターヘッセル)のインセクトポイズンリムーバー。使用方法や製品内容は上で紹介した商品とほぼ一緒。

上の商品に比べて、若干こちらの方が吸引力弱めですが、それでも毒液の吸い出しはバッチリです。

アメージングクラフト
ポイズンリムーバー

純国産のポイズンリムーバー。紹介するアイテムの内で最も価格が安いですが、頑丈な作りになっているので安心して使えます。

他のアウトドアグッズと並べても違和感のないカーキカラーが男心をくすぐります。

ポイズンリムーバーに関するよくある質問

ここではポイズンリムーバーと検索エンジンで調べた時によく見かける質問と、それに対する回答をまとめてみました。

ポイズンリムーバーは使う機会も少ないでしょうし、使っている人も見かけないので購入の際に不安な点が出てくると思います。こちらをぜひ参考にしてみてください。

ポイズンリムーバーじゃなくて、傷口を口で吸うのはダメなの?

ポイズンリムーバーと同じ原理だからと言って、口で毒液を抽出するのはやめましょう。

口で吸い出すと口内の細菌が傷口から入って感染症を起こす可能性があります。また、口内に傷や虫歯があるときは、その傷口から毒が入り込み毒の循環を早めてしまうので、絶対にしないでください。

普段見かけないけど、どこで売ってる?

大型のアウトドア用品店では、春から夏にかけて多くの店舗で取り揃えています。また、ドラッグストアやホームセンターでも見かけることがあります。

最も入手しやすいのはAmazon楽天市場などのネットショップです。実店舗に比べて種類も豊富で、手軽なのがおすすめです。

吸い出すときに痛みはあるの?

吸引力が強い商品だと鬱血する程度の力があり、痛みを感じることがありますが、刺された痛みやかゆみが強い場合は気にならない程度だと思います。痛い時は「しっかり毒液を抽出できてる」と思いながら、吸引を続けてください。

他でも代用、自作できる?

ポイズンリムーバーと同じ形状である、注射器型のピペットを使えば代用、自作可能です。

100均でも売っているため安く済み、軽量なので登山に持って行きやすいのが特徴です。しかし、ピストンの引き上げ操作が片手だと難しいことと、効果が不明瞭なのが自作するか判断に迷うところです。

また本体は安価ですが、工作のために紙やすりと糸のこ(カッターでは歯が入らないよう)を使用するので、家にそれらアイテムがなければ購入することになります。その場合は、ポイズンリムーバー自体とそれほど値段は変わらなくなるでしょう。

ポイズンリムーバーは「使用頻度が少ないのに1000円ほどして高い!」と思われる方もいるかもしれませんが、場合によっては命の安全に関わるものですので、安心して使えるものをお使いいただける方がいいかと思います。

参考までに自作の方法を解説しているサイトを貼っておきます。

使い捨て?使い回しはできる?

ほとんどの商品は、使用後にマウスピース(カップ)を薬用石鹸などで洗えば、再度使用可能です。刺された(噛まれた)てかなりの出血状態の場合、マウスピース内側に血液が付着するだけではなく、本体内部にまで血液が入る場合があります。この時は、血液感染の恐れがあるので使い捨ててください。

また、使い回しは血液感染症のリスクが高いので、出来るだけ避けましょう。

使用期限はある?

使用期限はありません。製品の破損、血液や菌による汚染がなければ半永久的に使えます。

おわりに

以上、ポイズンリムーバーの効果についてと登山におすすめのアイテム紹介でした!

医師からは意味ないと言われることもあるポイズンリムーバーですが、効果を実感したも人も多くいます。医師の治療を受ける前にやる応急処置としては有効と考えられますので、登山に行く際はエマージェンシーキットに入れておくと良いでしょう。

また、ここまで虫に刺された際の対処についてお話しましたが、何よりも刺されないことが1番です。ポイズンリムーバーは使わないものとして思っておき、虫対策は万全にした上で登山に行きましょう。

それでは、おしまい!

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