登れる山が増えてきた登山初心者が、重い荷物を持ったり行動時間が長くなって疲れる場面が多くなると欲しくなるのがトレッキングポール。
しかし、登山用品店に行くと様々な値段や種類があるため、どれを選べば良いか迷ってしまう方も多いと思います。
そこで今回は、種類や選び方を詳しく解説しつつ、登山初心者におすすめのコスパに優れたトレッキングポールを紹介していきます!
登山にトレッキングポールは必要?トレッキングポールのメリットや効果
トレッキングポールは登山の必須アイテムではありません。
しかし、使うと足腰の負担を軽減してくれたり、バランスをとりやすくなり転倒のリスクが減るなどメリットの多いアイテムで持っておいて損のないアイテムです。
まずはトレッキングポールのメリットについて詳しく見ていきましょう。
トレッキングポールのメリット① | 下りで足腰にかかる負担を軽減してくれる
登山の下りは着地の衝撃が非常に強く、太ももの前の筋肉や膝・腰を痛める可能性があります。
トレッキングポールを使うことで足にかかる衝撃を腕に分散することが出来るので、足腰にかかる負担を軽減してくれます。
トレッキングポールのメリット② | 登りや平地で推進力を生む
トレッキングポールを使うことで登りや平地で推進力を得ることができ、足の力を無駄に使うことなくスムーズに歩くことが出来ます。
また、重い荷物を持った状態での登りは非常に大変ですが、体を持ち上げる際に腕の力を活用できるので、足の筋力を温存しながら登ることが出来ます。
トレッキングポールのメリット③ | 歩行中のバランスを確保してくれる
ガレ場やザレ場など足場が不安定な場所で、両手で体を支えバランスを保てるようになるので、転倒や捻挫のリスクを防ぐことができます。
また、雨でぬかるんだ道や雪で滑りやすくなっていても腕でサポートすることが出来ます。
番外:タープ設営の支柱になる
トレッキングポールの使い道として歩行のサポートの他に、固い棒であるが故、タープを張る際の柱にするという使い方があります。
タープはキャンプで使うイメージが強く、また初心者や普段の登山では中々やらないと思いますが、登山でも沢登りやデイハイクの一つの楽しみとして使う方がいます。
周囲に木が無く、人が入れるほどの高さを出せないときに一役買ってくれます。
これらのメリットを見ると「あった方が良いじゃん!」と思うかもしれませんが、登山では自分の体だけで安全に歩行できる技術や筋力・体力が必要です。
トレッキングポールはあくまで歩行をサポートするアイテムとして思っておき、長距離を歩いたり重い荷物を持って行く負荷が大きい登山で使用するイメージを持ち、“どの山でもずっと使うアイテム”では無いことを覚えておきましょう。
登山初心者にコスパのいいトレッキングポールをおすすめする理由
登山といえば危険が付きものだから多少価格が高くても、品質も機能も良いものを使った方がいいように思う方もいるでしょう。
しかし、トレッキングポールは先ほど説明したように、あくまで歩行をサポートするものでずっと使うアイテムではないことに加え、消耗品であることが挙げられます。
トレッキングポールは高いものだと2万円以上するものもあります。
使用頻度が人によって異なるうえ消耗品のため、せっかく高価なトレッキングポールを買ったとしてもほとんど使わなかったり、使い方が荒くすぐに壊れてしまったなんてのは初心者にありがちです。
そうならないようにも、初心者は低価格なものから使用することをおすすめします。
また、低価格なものだとすぐに壊れてまた買い直すから結局コスパ悪いんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、登山でよく耳にするアウトドアメーカーから出ているコスパのいいモデルであれば、よほどの使い方でない限りすぐに壊れる心配はありません。
実際、私も今回紹介する商品を6年間使用していますが、折れたり曲がったりしたことはありません。
低価格な商品でもトレッキングポールのメリットを充分に受けることが出来ますので、そういった点でもコスパの良いアイテムを買うことをおすすめしています。
登山で使うトレッキングポールの選び方
コスパのいいものだったらどんなトレッキングポールを選んでも良いわけではありません。
人によって使用シーンや重視したいポイント、身長などは様々だと思うので、ここでは自分に合ったトレッキングポールが選べるように解説していきます。
トレッキングポールの選び方① | 収納方法・長さ調節方法を選ぶ
トレッキングポールは主に「伸縮タイプ」と「折りたたみタイプ」の2種類があり、それぞれ特徴や使い勝手が違います。
タイプ | 伸縮タイプ | 折りたたみタイプ |
---|---|---|
特徴 | ・使いやすい長さに調節しやすい ・折りたたみタイプに比べて収納時の全長が長くなる | ・シャフトを複数に折りたたんでコンパクトに収納できる ・長さ調節が出来ないモデルも多い |
伸縮タイプ
伸縮タイプは基本的に3つの棒(シャフト)で構成され、ポールの中に収納されたそれらを伸び縮みさせることで好きな長さに調節出来るタイプのポールです。
細かく長さを調節ができ、斜面の状況に合わせて長さを変えられるのが大きなメリットです。
収納時の長さでも約60cmと比較的長くザックの中には入れにくいので、使わないときは手で持っているかザックの横ポケットに入れることになります。
そのため、岩場や岩稜帯を歩く山では邪魔になったり、どこかに引っ掛けてしまい滑落の恐れがあるので少し不便です。
登山中のあらゆる場面でポールを使用したい方におすすめです。
折りたたみタイプ
折りたたみタイプは3〜5本に分かれたシャフトを折りたたんで収納するタイプのものです。
伸縮タイプより軽量な商品が多く、コンパクトになるためザックに収納しやすいのが魅力です。
それぞれのシャフトは内部のコードで繋がれているので、収納時にバラバラになる心配はありません。
しかし構造が複雑なため、伸縮タイプよりも耐久性が劣る場合があります。
また、長さ調節出来ないものが多いので購入前にしっかり確認した方が良いでしょう。
下山だけなど局所的に使う方や走ることの多い方などにおすすめです。
トレッキングポールの選び方② | 身長に合った長さを選ぶ
スキーをレンタルしたことがある人なら分かるかもしれませんが、ポールが身長に合わせてずらっと並んでいた記憶がありませんか?
登山で使うトレッキングポールも、自分の身長に合ったサイズのものを使うことが重要です。
長すぎたり短すぎたりするとポールの効果を発揮しないだけでなく、岩や木に引っ掛けたり歩行姿勢が悪くなったりとかえって逆効果になってしまいます。
①基準となる長さを決める
まず基準となる長さを決めていきます。
平地で使う適切な長さは「身長×0.63〜0.65」とされています。
これはポールを使った際に歩きやすいとされる、肘が直角かそれよりやや短めになるような計算式です。
例えば、身長170cmの方なら「170(cm)×0.63〜0.65」で約107〜110cmを基準とします。
②基準となる長さの±5〜10cm程度の調節幅を確保出来るモデルを選ぶ
基準となる長さは平地で使用する場合の長さになります。
登山の登りでは腕が窮屈にならないように平地より短め、下りでは自分よりも前方に突けるように長めにするなどの長さ調節が大切になってきます。
基準となる長さの±5〜10cm程度の調節幅を確保出来るモデルを選ぶと、行く山やコースに合わせてポールを使用することが出来ます。
身長170cmの方なら約97cm(-10cm)〜120cm(+10cm)に調節可能なポールを選ぶのがおすすめです。
トレッキングポールの選び方③ |素材を選ぶ
トレッキングポールは「アルミ」か「カーボン」素材の商品がほとんどです。
それぞれの素材によって特徴や使用したいシーン、価格が変わりますので自分に合った素材のポールを選びましょう。
素材 | 特徴 |
---|---|
アルミ | ・耐久性が高い ・低価格の商品が多い ・カーボンに比べてやや重い |
カーボン | ・非常に軽量で柔軟性がある ・高価格な商品が多い ・強度が低いものもあり、荷重が加わると折れることがある |
アルミ素材のポールは耐久性が高く安価なものが多いうえ、商品の種類が豊富なので初心者におすすめです。
荷重をかけすぎたり岩の隙間に引っ掛けたりするとシャフトが曲がる場合があります。
曲がっても使えますが、伸縮タイプでは収納出来なくなるので注意が必要です。
カーボン素材のポールはアルミより軽量で柔軟性があるのが特徴で、足の負担を軽減するだけでなく、突いてる腕や手首にも優しいのがポイントです。
そのため、長時間の登山で使用する際におすすめです。
アルミは曲がるがカーボンは折れるという素材の特性があります。
また、軽さを重視して強度が低いモデルもあるので、カーボン製は扱いに注意が必要になります。
そして、カーボン製は高価なものが多いため、より長い距離を歩くようになった中〜上級登山者におすすめの素材です。
トレッキングポールの選び方④ | グリップの形状を選ぶ
グリップ(持ち手)の形状には「I字型」と「T字型」の2種類があります。
I字型
I字型のトレッキングポールは、2本1組で両手に持って使用するのが基本です。
両手で突くためバランスをとりやすく、高低差のある山や足場が悪いところで使いやすいです。
また、腕2本分のサポートが入り推進力が生まれるため、登りや重い荷物を背負って歩く際の足の負担軽減に役立ちます。
T字型
T字型のトレッキングポールはグリップがTの形をした、街中でお年寄りが使っているイメージのある杖です。
グリップを上から握り込んで使用するため、段差のあるところで腕の力を使うことが出来ます。
基本的には1本での使用で段差のサポートがメインになるので、低山などの軽い山で時折大きい段差があるような山に行く場合におすすめです。
登山初心者には結局どんなトレッキングポールがおすすめなの?
人によって行く山や使いたい場面が違うので一概に「これがおすすめ!」とは言えないですが、岩場や岩稜帯が多い場所に行ったり、走ったりすることなど無く、歩行がメインの登山をするのであれば、伸縮タイプ・アルミ素材・I字型グリップの自分の身長に合ったトレッキングポールが登山初心者にはおすすめです。
今挙げた3つの組み合わせ且つコスパのいいトレッキングポールはかなり商品の種類も多いので、自分に合ったものが見つかると思います。
登山初心者におすすめ!コスパのいいトレッキングポール5選
ここからは登山初心者におすすめのコスパのいいトレッキングポールを紹介していきます!
ここでは、基本的に先ほどおすすめした伸縮タイプ・アルミ素材・I字型グリップの初心者でも使いやすいトレッキングポールを紹介します。
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)
トレイル
私が愛用しているBlack Diamond(ブラックダイヤモンド)から出ている「トレイル」。
スタンダードなポールで安価に抑えられつつも、比較的しなやかで腕への負担も少なく、ペアで486gとアルミ製のポールにしてはかなり軽く使いやすいタイプになっています。
6年間、登山以外にもスキーやバックカントリーでガシガシ使用しても折れることのない丈夫さがあります。
登山初心者にはぜひ使ってもらいたいトレッキングポールです。
SINANO(シナノ)
ロングトレイル125
日本のポール専門メーカーSINANOが手がける、登山初心者におすすめのベーシックモデル「ロングトレイル125」。
特徴的な機能は付いていないいが、超軽量アルミの超超ジュラルミンを材質に使用し1本250gという軽さと、グローブをしたままでも簡単にサイズ調整が可能なレバーロックを採用した、コスパの良いトレッキングポールになっています。
「もしも」の時もシャフト一節単位で修理交換が可能なので、まだまだトレッキングポールの使い方に慣れていない初心者でも、安心して使い倒すことができます。
Karrimor(カリマー)
カーボン トレッキングポール
イギリスのアウトドアブランドKarrimor(カリマー)の「カーボントレッキングポール」。
カーボン素材のポールはアルミを使ったものに比べて価格が高くなるのですが、本製品はかなり価格が抑えられているコスパのいいモデル。
カーボンの特徴である軽さとしなりやすさで、足だけでなく手首や腕などにかかる負担も軽減してくれ、歩きやすさを保証してくれます。
LEKI(レキ)
ジャーニーライト
トレッキングポールといえば必ず名前が挙がるほど知名度の高いドイツのポール専門メーカーLEKIの「ジャーニーライト」。
ポール専門メーカーということで高機能で高価格帯のポールが多いなか、このジャーニーライトは使いやすさと購入しやすい価格を実現したコスパモデルになっています。
スピードロック・プラスシステムが取り入れられ素早く長さ調整が可能なので、ストレスなく登山をすることが出来ます。
今回紹介するポールの中では2本1組で約510gと少し重めになっています。
DABADA(ダバダ)
伸縮式アルミ製 トレッキングポール 2本セット
今回紹介する中で最安値、3000円台のアルミ伸縮タイプのトレッキングポールです。
販売は大阪のアウトドア用品を良心的な価格で多数販売している「DABADA(ダバダ)社」で、本製品は安全な製品を保証するSGマークを取得した製品になっています。
これだけ安いと耐久性や性能に不安を覚える方もいると思いますが、素材には「SINANO ロングトレイル125」でも紹介した超超ジュラルミンを使用しており、軽量で強度が高いトレッキングポールになっています。
また性能面でも、アンチショック機能を搭載して手首や腕の負担を軽減してくれたり、長さ調節がしやすい伸縮タイプであったりと、この価格帯では考えられないほど高機能でとてもコスパの良い製品になっています。
一つデメリットがあるとすれば、固定方法がスクリュー式(回して固定するタイプ)のため、しっかり固定しないと使っている最中に緩んでしまい、シャフトが抜けたり縮んだりしてしまう可能性があること。
そのデメリットを踏まえても、このコスパを考えると初心者におすすめ出来る製品です。
まとめ
以上、登山初心者におすすめのコスパのいいトレッキングポール紹介でした!
トレッキングポールは登山において必須アイテムではありませんが、あれば足腰の負担を減らしてくれて快適な登山をすることが出来ます。
まずは1本、コスパのいい価格の安いものから試してみてはいかがでしょうか?
それでは、おしまい!
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