私が働いていた山小屋は、映えるコーヒーの写真が取れると登山者界隈で少し話題になった場所だった。
コーヒーの写真が撮りたくて登りにくる人がいるほど。
現に私も、働く1年前にコーヒーの写真を撮りに行っていた。
ある紅葉シーズンの1日、このコーヒーが短時間でとんでもなく売れたことがありました。
事の発端は団体のお客さん。
1回の注文でなんと17杯!!
これだけでも「作るの大変だ~」なんて思っていたが、そこで火が付いたのか単独やグループの人たちも列を作り、注文を取り終えた頃には25杯のコーヒーを作ることになっていました。(他にホットミルクなども数杯…)
この小屋は1から、豆を挽くところから全てやるのでもう大慌て。
注文があったのはランチの時間帯でランチメニューの方も忙しそうで、ヘルプを呼びに行くことも出来ず、売店番に入っていた私1人でやることになりました。
この時ほどコーヒーを無心で淹れることはもう無いでしょう(笑)
コーヒーは一気に7杯作れたのですが、効率よくやっても3~4分。
お客さんに提供するのもこちらが配膳するので、それなりに時間がかかります。
「まだー」「俺の忘れてない?」なんて言う声もちらほら聞こえてきて、「今作っているのでお待ちください!」と強気で返してしまった人たち、ごめんなさい。
場所柄、泊まらない限りは縦走するにも下山するにも時間がかかる場所なので急いでいるのは分かっているのですが、なんたって25杯の注文が入っていたので…
無事に作り終えた時には達成感でいっぱいでした。
飲み終えた人たちからは「美味しかった、ありがとう」と言ってもらえたり、もう1杯注文する人がいたりと、頑張って作った甲斐があって嬉しかったです。
3ヶ月の山小屋バイトの中でも指折りの大変さでしたが、良い思い出…
今度はまた、自分がお客さんとして飲みに行こうかな。
おしまい
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