夏は絶好の登山シーズンですが、厄介な虫たちの活動も盛んになる時期です。登山中、顔の近くをブンブン飛んでいる虫たちに不快な思いをさせられたことはありませんか?
虫除け対策として一般的なのは虫除けスプレーをすることですが、大量に汗をかく登山ではすぐに効果が落ちてしまうので、何度も塗り直さなければいけません。また、肌が弱くて虫除けを使用できない、匂いが苦手という方もいるでしょう。
そこで今回は、虫除けを使わずに虫から身を守ってくれる防虫効果のあるウェアを紹介していきます!着るだけで不快な虫から身を守ってくれる優れものです。ぜひ、参考にしてみてください。
夏の登山で出会う虫の種類
夏は虫が最も活動が盛んな時期。夏といえばセミやカブトムシが定番ですが、登山で出会うのはそんな夏の風物詩のような虫たちではありません。
夏山で遭遇する虫には…
スズメバチ、アブ、蚊、マダニ、ヤマビル、メマトイ
などが挙げられます。
普段聞き馴染みのない虫たちですが、特に低山や樹林帯で出会う可能性の高い虫たちです。
これらの虫は鬱陶しいだけではなく、知っての通りスズメバチは刺されると鋭い痛み、アブや蚊などは猛烈な痒みに襲われます。さらにマダニなどは感染症やアレルギー症状を引き起こし最悪死に至る場合も。
そんな虫による被害を抑える対策として、虫除けスプレー以外にも肌を隠すことが重要とされています。
機能的!防虫対策ウェアに使われている素材
防虫効果のあるウェアには、様々な加工技術が施された素材が使われています。
今までは、それらの素材を使って造園業や虫による感染症の多い地域のために作られた衣類が多かったのですが、最近ではアウトドア向けのウェアも増えてきました。
アウトドアブランドで使用されている機能素材は主に以下の2つです。
スコーロン
「スコーロン®」とは、アース製薬の開発した防虫剤を、帝人フロンティアのナノレベルの接着技術を使って、極細の糸の表面にしっかりと固着させた生地のこと。つまり、繊維に虫を寄せつけない特殊加工を施した素材のことです。
生地表面にとまったり、くっついたりした虫は、触覚と足の先にある感覚器でスコーロン®を感知し、刺すことなく逃げていきます。体の小さな蚊やマダニなどの吸血を避けることができます。
スコーロン®で特徴的なのは、洗濯をくり返しても防虫効果が持続する洗濯耐久性です。持続性が高く気化しにくいタイプの防虫剤を、生地そのものに頑強に固着させています。初期性能で90%以上、洗濯20回後でも80%以上の防虫効果を維持します。
このスコーロン®素材は、主に日本のアウトドアブランドFoxfire(フォックスファイヤー)が使用して、様々な防虫ウェアを展開しています。
インセクトシールド
米国環境保護庁にも認められ、米陸軍でも使用されているインセクトシールド加工。
防虫成分(ペルメトリン)を含んだ繊維がバリアとなり、小さな足のある不快な害虫(蚊、ダニ、アリ、ハエ等)から身を守ってくれます。原理は上記のスコーロンと同じです。
使用している防虫成分“ペルメトリン”は、キク科の植物に含まれる成分を人工的にコピーしたもので、人にとっても環境にとっても安全な成分になっています。また、インセクトシールド加工の施された衣類は70回洗濯しても効果が持続し、汗をかいたり水に濡れても効き目が変わらない、高い耐久性があります。
この技術を確立したインセクトシールドジャパンもアウトドアや造園業向けに商品を販売していますが、この技術を取り入れてワークマンやスノーピークも防虫対策ウェアを出しています。登山メーカーではないですが、登山で使えそうなものもあったので、気になる方は探してみてはいかがでしょうか。
他にも防虫素材としては、主に南アフリカで使われている「VITAL PROTECTION(バイタルプロテクション)」や、Marmot(マーモット)が使用している「NO FLY ZONE」というものがあります。これらは日本での取り扱いが少なかったり、商品数が少ないため、今回は割愛します。気になる方は調べてみてください。
防虫素材でもハチやアブなどの大きな虫の攻撃は防げない
おすすめのウェアを紹介する前に1つだけ知っておいて欲しいこと。
それは「防虫素材の服を着てもハチやアブなどの大きな虫の攻撃は防げない」ということです。
防虫素材は蚊やマダニなど体の大きさが小さく、一般の防虫剤が効くような虫でなければ、効果が無いとされています。
ハチやアブは“肌を隠す”だけでも刺される確率は減りますので、ウェアを身につけるだけマシではありますが、防虫効果を高く見積もって油断しないようにしましょう。
防虫効果のあるおすすめウェア7選
ここからは、先に解説した防虫機能素材を使った、帽子やズボンを含むウェア全7アイテムを紹介していきます。
防虫機能が強みの商品にはなりますが、それを除いても十分登山に活躍するものばかりです。ぜひ参考にしてみてください。
Foxfire(フォックスファイヤー)
SCウィンドパスフルジップ
防虫素材を使ったウェアではお馴染みのFoxfire(フォックスファイヤー)が手がけるフルジップシャツ。
このウェアには防虫、吸汗速乾、UVカット機能と、機能性抜群のトランスウェット・スコーロン素材使用されています。薄く軽量なジャカード編みの生地で、細かな隙間により通気性にも優れています。薄くて蒸れにくいため、暑い時期の登山でも使いやすいのが特徴。
虫除けとしてだけでなく、夏の高山での行動着としても活躍してくれる1着です。
Foxfire(フォックスファイヤー)
SCフーディ
同じくFoxfireが販売するフルジップパーカー。トランスウェット・スコーロン素材に加え、盛夏での使用も考慮した薄手でありながら目の細かい生地感で仕立てており、様々なアウトドア・アクティビティで快適に着用できるアイテムです。
フィット感のあるフードはさっと被れ、登山のちょっとした防寒として活躍してくれます。
Foxfire(フォックスファイヤー)
SCミドルチェックシャツ
防虫、UVカット機能を持つスコーロン素材を使用した、着まわしやすい長袖のチェックシャツ。ベーシックなサイズ感のため、重ね着などの応用範囲が広いのが特徴です。
このウェアは上記の2つとは違い、綿35%を含む素材を使用しております。綿素材は吸水・吸湿性は高いものの、乾きにくいのがデメリット。汗かきの人や特に暑い時期は汗処理機能の高いアンダーウェアと一緒に着ることをおすすめします。
Foxfire(フォックスファイヤー)
SCエルゴアームカバー
トランスウェット・スコーロン素材を使用したSCエルゴアームカバー。薄手生地で軽くサラッと着用できるのがポイント。半袖着用時でも腕全体をカバーしてくれ、サムホールにより手の甲も虫や日焼けからガードしてくれます。
サイズがXS〜L、カラーがチャコール/グレー/ネイビー/ピンクの4色とラインナップが豊富。同ブランドから出ているSCイージーアームカバーと比べ、ピッタリ目のフィット感です。
「長袖は暑くて嫌だ」という方は、アームカバーで虫除け対策をするのもおすすめです。
Foxfire(フォックスファイヤー)
SCトラバースパンツ
防虫、UVカット機能を持つスコーロン素材のパンツ。薄さとストレッチ性を重視した生地を採用しており、暑さによる不快感、運動時のストレスを軽減してくれます。
ポケットは計5つと多く、すぐに取り出したいものを収納しておくことが出来ます。右脇と後ろ側はファスナー付きのポケットになっているので、ものを落とす心配もありません。
snow peak(スノーピーク)
インセクトシールドハット
キャンプ商品を中心に展開しているsnow peak(スノーピーク)が販売しているインセクトシールドハットは、人にも環境にも優しいインセクトシールド加工を施したハットです。
フェイスラインから首の後ろ側までカバーするシェードは、メマトイなどの顔にまとわりつく虫を寄せつけません。このシェードは取り外し可能で、虫がいない所ではシンプルなハットとして使えます。
70回選択しても効果は持続し、汗や雨で濡れても効き目が変わらないのもポイント。
また、帽体の後ろ側がメッシュ素材になっているため通気性抜群で、汗を大量にかくような暑い時期におすすめのハットです。
Marmot(マーモット)
アンチインセクトハット
繊維上にマイクロカプセル化した忌避剤(虫を寄せ付けない効果のある薬剤)を耐久固着するビットレッチ加工と、虫除けメッシュで虫を寄せ付けないMarmot(マーモット)のサファリハット「アンチインセクトハット」。
防虫効果以外にも、両サイドにベンチレーションを配置して通気性を高めたり、内側の額にあたる部分には、抗菌防臭加工が施されたメッシュ素材を使用していたりと、汗をかく夏を快適に乗り切れる機能が満載のアイテムです。
おわりに
以上、夏の登山に着たい防虫効果のあるウェアまとめでした!
防虫効果のあるウェアはあまり商品数は多くないものの、虫が苦手な人、虫除けスプレーが苦手な人にとっては貴重なアイテムです。そうでない人でも、夏のアウトドアに虫除け対策は必須です。
着るだけで虫から守ってくれるこれらのアイテムは、1つ持っておくと役立ちます。ぜひ、着る防虫を試してみてはいかがでしょうか。
あわせて、虫除けスプレーをすることで万全な虫除け対策になります。こちらもぜひご覧ください。
それでは、おしまい!
コメント