虫除けスプレーを持っていても、汗をかくと効果が落ちて、何度も塗り直すのが面倒ですよね。肌が弱くてスプレーが使えない、匂いが苦手という方もいると思います。
実は、服そのものに防虫加工が施されたウェアがあります。着るだけで、蚊やマダニ、ヤマビルのような小さな虫を寄せつけにくくしてくれるものです。アブのように加工が効きにくい虫もいますが、厚手のタイプなら生地が肌を覆う分、接触の機会自体は減らせます。夏の低山や樹林帯は、こうした虫が多い場所でもあります。
今回は、この防虫ウェアがスプレーと何が違うのか、どれを1着目に選べばいいのかを整理しました。
- 防虫ウェアが虫除けスプレーと違う点
- 洗濯を重ねても効果が落ちにくい理由と、その目安の回数
- 防虫ウェアで防げる虫と、防げない虫
- 部位別のおすすめ5点と、選び方
【結論】迷ったら、まず1着で始めてください
先に結論だけ言います。
初めての1着なら、Foxfire「SCフーディ」がおすすめです。薄手で価格も手頃なので、防虫ウェアを試すハードルが低いです。
- ①初めての1着なら → Foxfire SCフーディ(薄手・価格も手頃)
- ②防風性もほしい、生地の厚みでアブなど大きな虫との接触を減らしたいなら → Foxfire SCウィンドパスフルジップ(厚手)
- ③頭まわりの虫よけもほしいなら → snow peak Insect Shield Hat(顔や首まではカバーしません)
下半身用のパンツと、ブランドの違うMILLETも後ほど紹介します。3パターンに絞り切れない場合は、比較表で見比べてみてください。
防虫加工の服は、虫除けスプレーと何が違うのか
防虫ウェアは、スプレーとは効き方の仕組みが違います。ここを知っておくと、どちらを使うべきか判断しやすくなります。
①洗濯しても効果が落ちにくい理由
今回紹介する防虫ウェアの多くは、「スコーロン®」または「インセクトシールド」という加工が使われています。
スコーロン®は、アース製薬が開発した防虫剤を、極細の繊維の表面にしっかりと固着させた素材です。生地にとまった虫は、触覚や足先の感覚器でこの加工を感知して逃げていきます。体の小さな蚊やマダニの吸血を避けられます。
インセクトシールドは、米陸軍でも採用されている加工技術で、繊維に防虫成分(ペルメトリン)を固着させています。人にも環境にも優しい防虫成分です。
どちらも、スプレーのように表面に吹きかけるのではなく、繊維そのものに防虫成分を固着させているのがポイントです。だから、洗濯しても流れ落ちにくいわけですね。
②効果が続く回数の目安
洗濯を重ねると効果はどれくらい落ちるのか、メーカー公式の数値を並べてみます。
- スコーロン®(Foxfire):初期性能90%以上、洗濯20回後でも80%以上を維持
- インセクトシールド(snow peak):シリーズ全体では洗濯70回まで効果が持続し、汗や水に濡れても効き目は変わりません(帽子単体の製品ページには回数の記載はありません)
回数の基準が違うので単純に「どちらが優れているか」とは言い切れませんが、どちらも数十回単位の洗濯に耐える設計という点は共通しています。仮に週1回のペースで洗ったとすると、スコーロン®の20回は約5ヶ月分、インセクトシールドの70回は1年半近くに相当する計算です(あくまで筆者の目安計算で、メーカーが示す期間ではありません)。普段使いの頻度なら、シーズン中に効果が切れる心配はしなくてよさそうです。
③スプレーは置き換えられるか、併用すべきか
結論から言うと、蚊やマダニなど小さな虫はウェアに任せてよいと思います。塗り直しの手間が減るのは、防虫ウェアの一番のメリットです。
ただし、顔や首、手首など、服で覆えない部分は残ります。そこはこれまでどおり、虫除けスプレーを使うのが現実的です。次の章で説明しますが、ハチやアブのような大きな虫には、そもそも防虫加工そのものがあまり効きません。
つまり防虫ウェアは、スプレーの代わりというより、スプレーを塗り直す範囲を狭めてくれるものと考えるとしっくりきます。スプレーの選び方は、虫除けスプレーを比較した記事にまとめています。
防虫ウェアで防げる虫・防げない虫
おすすめを紹介する前に、1つだけ知っておいてほしいことがあります。
防虫素材の服を着ても、ハチやアブなどの大きな虫の攻撃は防げません。
防虫加工は、蚊やマダニのように体が小さく、一般の防虫剤が効くタイプの虫を主な対象にしています。ハチやアブのような大きな虫には、効果が薄いです。
ただし、肌を隠すこと自体には意味があります。厚手のウェアで肌の露出を減らせば、刺されたり咬まれたりする確率は下がります。防虫加工の力ではなく、生地が物理的に肌を覆っているだけという点は覚えておいてください。過信して油断しないことが大切です。
整理すると、こうなります。
- ウェアに任せてよい虫:蚊、マダニ、ヤマビルなど、体が小さい虫
- ウェアだけでは足りない虫:スズメバチ、アブなど、体が大きい虫
大きい虫への対策は、肌を覆う、動きを見て刺激しない、といった別の対策が中心になります。万が一スズメバチに刺された場合の対処法や、マダニの生態と対策もあわせて確認しておくと安心です。
防虫ウェアの比較
対象になる虫は、蚊やマダニなど小さな虫が中心です(大きな虫については前の章のとおりです)。その前提で、5点を並べました。
| 商品 | 仕組み | 洗濯耐久 | 参考価格(税込) |
|---|---|---|---|
| Foxfire SCフーディ 上半身・薄手 | スコーロン® | 20回で80%以上 | 13,860円 |
| Foxfire SCウィンドパスフルジップ 上半身・厚手 | スコーロン® | 20回で80%以上 | 16,280円 |
| MILLET インセクト バリヤー フーディ 上半身・薄手 | インセクトバリヤー® | 未確認 | 12,600円 |
| Foxfire SCトラバースパンツ 下半身 | スコーロン®ストレッチ | 20回で80%以上 | 14,960円 |
| snow peak Insect Shield Hat 頭部 | インセクトシールド | 70回 (シリーズ表記) | 7,700円 |
日常使いもできるか
薄手のSCフーディ・SCトラバースパンツ・MILLETのインセクト バリヤー フーディは、街着に近い見た目なので普段の外出でも使いやすいです。SCウィンドパスフルジップは生地が厚く、アウトドア感がやや強めです。
部位別、防虫ウェアおすすめ5選
ここからは、5点をひとつずつ紹介します。上半身→下半身→頭部の順で、気になる部位から足していけば大丈夫です。5点すべてをそろえる必要はなく、まず1点だけ試してみて、必要を感じたら次を足していくくらいで十分だと思います。
長袖は暑苦しくて苦手、という方には、腕だけをカバーする方法もあります。アームカバーだけを比較した記事にまとめているので、あわせてご覧ください。
①Foxfire SCフーディ(上半身・薄手)
| 価格 | 13,860円(税込・2026年8月時点) |
| 重量 | 180g(公称値) |
| 素材 | トランスウェット®スコーロン®(ポリエステル100%) |
防虫・吸汗速乾・UVカット機能を備えた、薄手のフルジップパーカーです。目の細かい生地なので、盛夏の使用も考えて作られています。フィット感のあるフードは、ちょっとした防寒にも使えます。
向いている人:初めて防虫ウェアを試す人。薄手なので、普段着としても取り入れやすいです。
注意点:薄手な分、朝晩の冷え込みには心もとないです。防寒を重視するなら、次に紹介するウィンドパスフルジップのほうが安心です。
②Foxfire SCウィンドパスフルジップ(上半身・厚手)
| 価格 | 16,280円(税込・2026年8月時点) |
| 素材 | トランスウェット®スコーロン®ウィンドパス(ポリエステル100%) |
防虫、吸汗速乾、UVカット機能に加えて、風を通しにくいウィンドパス生地を使ったフルジップシャツです。細かな隙間で通気性を確保しつつ、体感的な防風性を持たせています。虫除けとしてだけでなく、標高の高い場所での行動着としても使えます。
向いている人:肌の露出を減らしたい人。厚手の生地は肌を隠す面積が広く、アブなど大きな虫と接触する機会自体を減らせます(防虫加工の効果ではなく、生地が肌を覆う物理的な効果です)。
注意点:厚手なので、SCフーディより蒸れやすく感じることがあります。真夏の低山では暑さを感じるかもしれません。
③MILLET インセクト バリヤー フーディ(上半身・別ブランド)
| 価格 | 12,600円(税込・Amazon・2026年8月時点。メーカー希望小売価格は19,800円) |
| 重量 | 220g(公称値) |
| 素材 | インセクト バリヤー®ライトナイロンストレッチ(ナイロン100%・ポリウレタン8%、撥水加工) |
フランス発のアウトドアブランド、ミレー(MILLET)からも、防虫加工のフーディが出ています。Foxfireやsnow peakとは違う技術が使われているので、選択肢を増やしたい方に向いています。
この防虫ラインには「インセクトバリヤー®」という加工が採用されています。天然の忌避成分と似た構造を持つ接触忌避剤(ペルメトリン)を繊維に施したもので、Foxfireのスコーロン®やsnow peakのインセクトシールドとは名称も別物です。洗濯耐久性に優れていますが、具体的な洗濯回数は分かりませんでした。なお、アブやハチには効果がありません。
向いている人:Foxfireやsnow peak以外のブランドで探したい人。
注意点:洗濯耐久回数がメーカー公式で確認できなかったため、この記事では効果の持続期間を断定していません。在庫は変動するため、購入前に販売ページでご確認ください。
④Foxfire SCトラバースパンツ(下半身)
| 価格 | 14,960円(税込・2026年8月時点) |
| 重量 | 260g(公称値) |
| 素材 | スコーロン®ストレッチ(ポリエステル18%・複合繊維82%) |
薄さとストレッチ性を重視した、防虫・UVカット機能付きのパンツです。ポケットは5つあり、右脇と後ろ側はファスナー付きなので、物を落とす心配も少なめです。
向いている人:上半身だけでなく、脚もカバーしたい人。背の高い草をかき分けて歩くような低山や、草丈の高いコースを歩く人にも向いています。裾を靴下にしまっても歩くうちにゆるんでくることがありますが、生地全体に防虫加工がされているので、そのゆるみをそこまで気にしなくて済みます。
注意点:ストレッチ素材ですが、サイズ展開はブランドごとの表記に沿うので、購入前にサイズ表を確認してください。
⑤snow peak Insect Shield Hat(頭部)
| 価格 | 7,700円(税込・2026年8月時点の通常価格。時期によりセール価格になることがあります) |
| 素材 | ナイロン・ポリエステル(メッシュ使用) |
頭部の防虫加工と通気性を両立させたメッシュのハットです。メマトイのように頭の周りを飛び回る虫が気になる場合、頭を覆うだけでも接触の機会は減らせます。ただし顔や首まで覆うシェードは付いていないので、その部分の虫対策としては物足りません。
裏側がメッシュ仕様になっていて蒸れにくく、後ろ側にはワンハンドで調整できるアジャスターも付いています。
向いている人:頭部の防虫加工と通気性を重視する人。
注意点:顔や首までは覆えないので、その部分は虫除けスプレーと併用してください。
よくある質問
- 防虫ウェアは、繊維そのものに防虫成分を固着させているので、洗濯しても流れ落ちにくいです
- 効く相手は主に蚊やマダニなど小さな虫。ハチやアブなど大きな虫は防げません
- 顔や首など服で覆えない部分は、引き続きスプレーとの併用が現実的です
- 初めての1着なら、薄手で価格も手頃なFoxfire SCフーディから試すのがおすすめです
防虫ウェアは、一度そろえてしまえば毎回のスプレーの塗り直しから解放される装備です。5点すべてを買う必要はないので、気になる部位から1点だけ試してみてください。
虫除けスプレーの選び方は、虫除けスプレーを比較した記事で詳しく紹介しています。服だけでは防ぎきれない部分の対策として、あわせて確認してみてください。
服以外にもできる虫対策は、服以外にもできる虫対策をまとめた記事にまとめています。




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