八ヶ岳のアブ対策|出やすいのは登山口〜山小屋まで【ピークは7月】

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八ヶ岳にアブは本当に出る?山小屋が伝えている事実

「八ヶ岳 アブ」と検索して、このページに来た人が多いと思います。結論から言うと、アブは出ます。個人の体験談だけでなく、山小屋自身が毎年のように注意を呼びかけているからです。

八ヶ岳は、山小屋泊デビューの山として選ばれることが多い山域です。初めて登る人にとっては、虫よけもアームカバーも、まだ何も持っていないというのが普通だと思います。何を持っていけばいいかを、この記事でひとつずつ確認していきます。

この記事で分かること
  • アブが出やすい場所(エリアごとの傾向)
  • アブが出やすい時期(年による差も含めて)
  • 持っていくとよい忌避剤とアームカバー
  • 防虫加工ウェアだけでは足りない理由

八ヶ岳青年小屋は、2024年7月19日の現地情報で「アブが飛んでいます。繁殖期のアブは餌を求めて一番攻撃的」と伝えています。

夏沢峠にあるオーレン小屋は、2020年7月30日の記事で「今年は長雨のせいか、登山口のアブは見かけませんが、念のため虫よけスプレーはお持ちください」と伝えています。その年はアブをあまり見かけなかったという内容ですが、山小屋が虫よけスプレーの持参を呼びかけていたのは事実です。

ただし「八ヶ岳全体でいつでも出る」わけではありません。次の章で、場所と時期を分けて見ていきます。

どこで出やすいか(エリア別)

今回調べた範囲では、アブの目撃は南八ヶ岳の登山口〜山小屋周辺(標高1,500〜2,400m)に集中していました。標高が上がった稜線では、目撃情報が見つかりませんでした。エリアごとに見ていきます。

①美濃戸口〜赤岳鉱泉・行者小屋(北沢・南沢)

赤岳への代表的なルートです。車が入る沢沿いの道で、アブに攻撃されたという登山記録が複数あります。宿泊施設のスタッフから「車の排気ガスでアブが興奮する」と聞いたという証言も見つかりました。

②編笠山〜権現岳・青年小屋

八ヶ岳青年小屋が、複数年にわたって公式にアブの発生を発信しているエリアです。「アブ除けのお薬をご準備ください」と、装備の準備を直接呼びかけたこともあります。

③夏沢峠・オーレン小屋(桜平登山口)

桜平の登山口周辺は、前述したオーレン小屋の2020年の記事以外に、確度の高い情報は見つかりませんでした。②のエリアほど強い根拠ではありませんが、車の入る林道が近いエリアなので、持っておいて損はないと思います。

④稜線に出たら(赤岳山頂・横岳・硫黄岳など)

森林限界(これより標高が高いと、木が生えなくなる境界のことです)を超えた稜線では、アブに悩まされたという記録は見つかりませんでした。とはいえ「絶対に出ない」とまでは言い切れないので、油断はしすぎないほうがいいと思います。

エリアの標高とアブの目撃情報 1 美濃戸口〜赤岳鉱泉・行者小屋 標高 1,500〜2,350m 車の通る沢沿いで目撃記録あり 1,500m 2,900m(山頂) 2 編笠山〜権現岳・青年小屋 標高 2,400m 山小屋が毎年発信 3 夏沢峠・オーレン小屋 標高 2,330m 根拠は弱め(2020年の記事のみ) 4 稜線(赤岳山頂・横岳・硫黄岳など) 標高 2,600m以上 目撃情報は見つからなかった 3・4は「出ない」ではなく「見つからなかった」という意味です
標高が上がるほど目撃情報は少なくなりますが、3・4は根拠が弱い・情報がないだけで、出ないと証明されたわけではありません。
エリア標高目安傾向
美濃戸口〜赤岳鉱泉・行者小屋1,500〜2,350m車の通る沢沿いで目撃記録あり
編笠山〜権現岳・青年小屋2,400m山小屋が毎年発信
夏沢峠・オーレン小屋2,330m2020年に持参を呼びかけ(目撃情報ではない)
稜線(赤岳山頂・横岳・硫黄岳など)2,600m以上目撃情報は見つからなかった

今回調べられた範囲での傾向です。北八ヶ岳(蓼科山・麦草峠方面)は、確度の高い情報が見つからなかったため、この表には含めていません。

いつ出やすいか(時期の目安)

「梅雨明け〜7月中旬に大量発生」という話をよく見ますが、山小屋の発信を追うと、もう少し前から出ているようです。

時期状況
6月下旬梅雨の晴れ間から出始める
7月上旬〜中旬ピーク。繁殖期で攻撃的
7月下旬急速に減っていく
8月以降年によってはほぼいなくなる

八ヶ岳青年小屋は2026年8月11日の現地情報で「アブの季節は終わりました。今年はアブが少なかった」と伝えています。同小屋の現地情報より(2026年8月13日確認)。年によって発生量にばらつきがあるので、「8月だから安全」と決めつけないほうがいいと思います。

ちなみに、雨の日はアブが飛べないという情報もあります。地味ですが、覚えておくと少し安心材料になります。

八ヶ岳のアブ対策に何を持っていくか

持っていくべきものは、忌避剤と、肌を隠す薄手の長袖です。この2つがあれば、かなり対策になります。

ここで1つ、誤解を訂正しておきます。「防虫加工のウェアを着ればアブも防げる」と思っている人が多いのですが、これは違います。防虫加工の服を着ていても、アブやハチには効きません。防虫加工は蚊向けで、アブには効かないと考えておいたほうが安全です。

①虫除け忌避剤(イカリジン/ディート)

忌避剤を選ぶときは、有効成分と対象年齢を見ておくと失敗しません。イカリジンとディートは、どちらも虫除けスプレーに使われる有効成分(虫を遠ざける薬剤)の名前です。

商品主成分対象年齢特徴
イカリジン忌避剤イカリジン年齢制限なし匂いが少なく子どもにも使える
サラテクト(高濃度ディート)ディート12歳未満は使用不可効果の持続がやや長い

迷ったら、まずイカリジン系を選ぶのが無難です。蚊のほかマダニ・ブユ・アブも適用害虫に含まれ、対象年齢の制限もありません。

もう1つの選択肢がディート配合のサラテクトです。効果の持続時間で選ばれることが多い成分ですが、12歳未満の子どもには使えません。大人だけで登る場合の選択肢として考えてください。

ほかの虫除けもあわせて比較したい場合は、虫除けスプレーのおすすめを比較した記事もまとめているので、よければ見てみてください。

②肌を隠す薄手の長袖・アームカバー

アブは肌の露出に反応して寄ってくる虫です。防虫加工ではなく、物理的に肌を隠すことが効果的だと考えています。半袖にアームカバーを合わせれば、暑い日でも腕の露出を減らせます。

アームカバーは種類が多く、日差し対策と虫対策で選び方が変わります。登山用アームカバーの選び方をまとめた記事も参考にしてみてください。八ヶ岳は山小屋泊が前提になることが多いので、初めて登る人はレインウェアやザックもまだ持っていない、ということもあると思います。そうした装備はやまどうぐレンタル屋でまとめて借りることもできます。

八ヶ岳の苔におおわれた樹林帯。針葉樹の間に細い登山道が続く
八ヶ岳の樹林帯。アブが出るのは、こうした標高の低い林の中や沢沿いです(撮影:Σ64/CC BY 3.0)

刺されてしまったときは

刺されたら、まず掻かないこと。そして流水で洗い流すことが基本です。腫れやかゆみが強い場合は、無理に登り続けず、様子を見てください。持病がある方や、腫れが広がっていく場合は、無理をせず早めに山小屋のスタッフに相談することも考えてください。

対処の詳しい手順や、似ているブヨとの見分け方は、以前くわしくまとめました。アブに刺された後の対処法とブヨとの見分け方をまとめた記事も参考にしてみてください。

よくある質問

北八ヶ岳(蓼科山・麦草峠)にもアブは出ますか?

今回調べた範囲では、確度の高い記録が見つかりませんでした。この記事は南八ヶ岳の情報が中心です。北八ヶ岳を登る場合も、念のため忌避剤は持っておくと安心だと思います。

稜線まで上がれば安心ですか?

森林限界を超えた稜線では目撃情報が見つかりませんでしたが、「絶対に出ない」と証明できるものではありません。標高が上がったら大丈夫、と言い切らないほうがいいと思います。

防虫加工の服を着ていけば大丈夫ですか?

蚊には効果がありますが、アブには効きません。前述のとおりメーカーのFAQにも明記されています。防虫加工の服だけに頼らず、忌避剤や肌を隠す服を合わせてください。

子どもと一緒に登る場合、虫除けはどれを選べばいい?

イカリジン系の忌避剤なら年齢制限がなく、子どもにも使えます。ディート配合のサラテクトは12歳未満には使えないので、家族で登る場合はイカリジン系を選ぶのが無難です。

まとめ

八ヶ岳のアブは、登山口〜山小屋周辺(標高1,500〜2,400m)で、6月下旬〜7月中旬に出やすい、という傾向がありました。稜線まで上がれば目撃情報は減ります。

対策は、忌避剤と、肌を隠す薄手の服の組み合わせです。防虫加工のウェアだけに頼らず、この2つを揃えて登ってもらえたらと思います。

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