高尾山クラスの低山、チェーンスパイクは要る?要らない?
先に結論からお伝えします。
- 1号路のような舗装された参道を、日中だけ歩くなら、チェーンスパイクは基本的に要りません。
- 奥高尾方面(陣馬山・景信山方面への縦走路)を歩く計画があるなら、持っていくと安心です。
- 舗装路でも、早朝出発や降雪直後の日陰は、路面が凍っていることがあります。
「要る」と判定した人は、後半の「買うならどれを選ぶか」まで読み進めてください。手のひらサイズで、リュックに入れておいても邪魔になりません。
「要らない」と判定した人は、次の章だけ読めば十分です。無理に買う必要はありません。
そもそも高尾山クラスの低山は、普段登山をしない人が冬に選ぶ最初の1本になりやすい場所です。普段履いているスニーカーのまま歩くつもりの人も多く、手袋やダウンは用意しても、足元の凍結までは考えていなかった、という人も多いのではないでしょうか。

高尾山クラスの低山でも、なぜ路面が凍るのか
「たかが標高599mの高尾山で、凍結なんて大げさでは」と思うかもしれません。ですが、公式の情報を見ると、そうとも言い切れません。
高尾山では、早春まで凍結が残ることがあります。
もう少し具体的な情報として、高尾ビジターセンターが2025年2月5日に出した現地情報があります。降雪の2日後の状況として、こう報告されていました。
チェーンスパイクなどは高尾山内は不要と思われます/奥高尾方面はチェーンスパイク程度の携行を、ぬかるみも想定しましょう
つまり1号路・6号路・稲荷山コースなど「高尾山内」と呼ばれる範囲は、この時はチェーンスパイクなしで問題なしと見られていました。一方、そこからさらに奥へ進む奥高尾方面(複数の山をつなげて歩く縦走路)は、携行が勧められていたわけです。
気をつけたいのは、雪の降り方は年によって違います。前日まで暖かければ路面は乾いていますし、直前に雪が降れば話は変わります。「毎年必ずこう」と決めつけず、出発前に近い日付の現地情報を確認するのが一番確実です。
凍結が起きやすいのは、日が当たりにくい北向きの斜面や、木立の下、沢沿いの道です。朝の早い時間帯や、下山が遅れて日が落ちたあとも、同じ場所でも急に滑りやすくなります。
標高だけで見れば高尾山は599mしかありません。それでも、山の中の気温は都市部の天気予報より数度低くなりますし、日中に溶けた雪が夜のうちに再凍結して、朝は硬い氷の膜になっていることもあります。「低い山だから関係ない」とは言い切れない理由がここにあります。
自分に必要かどうかを判断する
ここまでの情報を、実際に歩くコースと時間帯に当てはめてみましょう。
| 歩く場所 | 時間帯 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1号路など舗装された参道 | 日中 | 要らない | 路面が乾いていることが多い |
| 1号路など舗装された参道 | 早朝・日没後・降雪直後 | 状況による | 凍結が残っていることがある |
| 奥高尾方面(陣馬山・景信山方面の縦走路) | 時間帯を問わず | 要る | 非舗装路が多く、携行が勧められている |
| 日陰の斜面・沢沿いの道 | 降雪から数日以内 | 要る | 溶けきらず凍結が残りやすい |
この表はあくまで目安です。「丁寧に歩けば要らない」という考え方もあります。歩幅を小さくして、かかとからではなく足裏全体で着地するように歩けば、多少の凍結ならしのげることもあります。ただし、下山中に疲れてくると、この歩き方を保つのは意外と難しいものです。荷物としては軽く、ポケットにも入るサイズなので、迷っているなら持っていくほうを選んでおいて損はありません。
逆に、持っていったのに使わなかったとしても、それはそれで構いません。使わずに済んだ、という結果のほうが望ましいくらいです。
買うならどれを選ぶか
「要る」と判定した人向けに、タイプの違う2つを紹介します。低山の日帰りで使うことを前提に、軽量なモデルに絞りました。
雪山用の本格的なアイゼンと違って、どちらも靴の上からゴムバンドで留めるだけの作りです。専用の技術がなくても扱えます。
| 項目 | スノーライン Chainsen Trail | エバニュー U.L.チェーンクリート EBY036 |
|---|---|---|
| 重量(1足あたり) | 約90〜103g(ペアでM180g・L200g・XL205g) | 約34〜36g(ペアでSM68g・ML72g) |
| 構造 | つま先からかかとまで爪が並ぶ本格タイプ | 薄型・軽量重視のシンプルな作り |
| 素材 | ステンレス・合成ゴム | ステンレス(爪)・TPU(伸縮性のある樹脂・バンド) |
| 対応サイズ | M/L/XL(靴サイズ22.5〜31.5cm) | SM/ML(靴サイズ23〜28cm) |
| ★日常でも使えるか | 登山靴向けの作りで、通勤靴には大きい | 公式が「スニーカーにも装着が簡単」とする薄さ |
予算を抑えたい人向け
エバニュー EBY036は、薄くて軽いシンプルな作りです。とにかく荷物を増やしたくない人、まずは1つ試してみたい人に向いています。
頻繁に低山へ行く人向け
つま先からかかとまで爪が並ぶ本格タイプなので、スノーライン Chainsen Trailのほうが安定感があります。奥高尾方面の縦走を何度も歩く人には、こちらのほうが心強いはずです。
手持ちの靴との相性で選ぶときの基準
登山靴で歩くなら、かかとまでカバーするタイプが安定します。普段履いているスニーカーで低山を歩く予定なら、薄くて軽いタイプのほうが違和感なく装着できます。
どちらを選ぶ場合も、対応サイズは必ず確認してください。靴の実測サイズと、メーカーが示すサイズ表記がずれていることがあります。
もうひとつ、通勤や買い物のときの雪道でも使うつもりがあるかどうかも、選ぶときの手がかりになります。登山にしか使わないなら、かかとまでしっかり支えるタイプのほうが安心感があります。日常の雪道でも兼用したいなら、薄くて軽いタイプのほうが持ち運びやすく、靴を選びません。
使うときに知っておくこと
装着の仕方
つま先側のゴムバンドを靴のつま先にかけ、そのままかかとまで引っ張って固定するだけです。手袋をしたままでも装着できますが、慣れないうちは登り始める前、平らな場所で練習しておくと安心です。
登山口の近くで一度立ち止まり、路面の様子を見てから着けるかどうかを決めるくらいで構いません。歩き出してから凍結に気づいた場合も、無理に進まず、安全な場所で足を止めて装着してください。
舗装路を長く歩くときは外す
チェーンスパイクは氷や雪の上で力を発揮する道具です。アスファルトの上を長く歩くと、爪がすり減るだけでなく、逆に滑りやすくなることがあります。凍結区間を抜けたら外しましょう。
それでも滑りそうなとき
チェーンスパイクを着けていても、絶対に転ばないわけではありません。歩きにくいと感じたら、無理に先へ進まず、歩き方を変えるか、引き返す判断も持っておいてください。
もし転倒して動けなくなったり、道に迷ったりした場合は、自分の判断だけで解決しようとせず、早めに110番・119番や登山口周辺の施設に助けを求めてください。低体温症は判断力から先に落ちるため、「まだ大丈夫」と思っているうちに動くことが大切です。
足元以外の冬支度も一緒に見直す
チェーンスパイクを用意しても、靴下が薄いままだと足先の冷えは残ります。厚みのある靴下に替えるだけでも体感は変わるので、こちらも合わせて見直しておくと安心です。
登山用靴下の厚さ別おすすめランキングで、自分の足に合う厚みを確認してみてください。
足元の対策をしても、手先の冷えはまた別の問題です。手袋の中に貼るカイロや、繰り返し使える充電式カイロを持っておくと、休憩中の冷えがだいぶ楽になります。
登山で使うカイロの選び方もあわせてどうぞ。
足元と手先を整えたら、あとはフリースや手袋、ネックウォーマーといった防寒着の中身です。こちらは別の機会に、低山ならではの選び方としてまとめる予定です。
よくある質問
Q1. 高尾山1号路だけなら、真冬でも普通の靴で大丈夫?
舗装された参道を日中歩くだけなら、多くの場合は普通の靴で問題ありません。ただし降雪直後や早朝は別です。前日までの天気を確認してから出発してください。滑りにくいソールの靴を選んでおくだけでも、体感は変わります。
Q2. チェーンスパイクとアイゼンは何が違う?
チェーンスパイクは爪が短く、軽い雪や凍結路向けの道具です。アイゼンは爪が長く、雪山や急斜面での本格的な使用を想定した装備です。装着もアイゼンのほうが手順が多く、靴も対応するものを選ぶ必要があります。高尾山クラスの低山であれば、チェーンスパイクで足ります。
Q3. どのあたりから着ければいい?
「◯合目から」と機械的に決まっているわけではありません。路面が白く光って見えたり、踏むとザクザク音がしたりする場所に差しかかったら、そこで着けるのが確実です。迷ったら早めに着けたほうが、転倒のリスクは減らせます。
Q4. 一度買えば来年も使える?
金属の爪とゴムバンドでできた作りなので、使用後に泥や雪を落として乾かしておけば、翌シーズンも使えます。ゴム部分が硬くなったり切れたりしていたら、その時点で買い替えを検討してください。保管は、直射日光の当たらない場所に置いておくだけで十分です。
まとめ
舗装された参道を日中歩くだけなら、チェーンスパイクは要りません。奥高尾方面への縦走や、早朝出発、降雪直後の日陰を歩く計画があるなら、持っていくと安心です。
軽くてかさばらない道具なので、判断に迷ったら荷物に加えておく、という選び方でも構いません。あわせて靴下やカイロなど、足元と手先の冷え対策も見直してみてください。

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