富士登山は初心者でも登れるの?|体力と準備期間で自己診断チェックリスト付き

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「体力に自信がないけど、富士山って登れるのかな」——そう思って検索した方、多いと思います。

SNSを見ると「感動した」という声もあれば、「想像以上にきつかった」「高山病で頂上まで行けなかった」という声もあります。どちらを信じればいいのか、余計に分からなくなりますよね。

結論から言うと、答えは「人による」です。

ただしその「人による」を、体力・準備期間・高山病という3つの軸で、自分ごととして確認する方法はあります。

「普段まったく運動していないけど、大丈夫かな」

「本番までもう1ヶ月切ってるけど、今から間に合う?」

「高山病って、体力があれば防げるの?」

今回はそんな疑問についてお答えしていきます。

この記事で分かること
  • 体力・準備期間・高山病、3つの軸での自己診断
  • 残り期間ごとに、今から何をすればいいか
  • 「今シーズンは無理をしない」という判断がありなケース
  • 行けると分かった人が、次に準備すること
富士山の登山道を歩く登山者たち。大きなザックの人も身軽な人もいて、装備や経験はさまざま
吉田ルートの登山道。経験も装備もさまざまな人が、同じ道を歩いています。
写真:Jakub Hałun/CC BY-SA 4.0
目次

富士登山に来る人の半数以上が、実は登山未経験です

まず知っておいてほしい事実があります。

富士山に登る人の多くは、実はベテランではありません。

山梨県・静岡県でつくる富士山世界文化遺産協議会が2024年に行った来訪者調査によると、「今回、富士登山をするのは初めてか」という質問に対し、「初めて」と答えた人は56.8%。半数を大きく超えます(回答者1,309人)。

これとは別に、富士山に限らない登山経験そのものを自己評価してもらった質問でも、「初心者」と答えた人が41.9%ともっとも多い結果でした。聞いていることは違いますが、どちらの数字も「経験の浅い人が多い」という同じ傾向を示しています。

つまり富士山は、多くの人にとって「登山で登る最初の山」だということです。経験がないことは、決して特殊なことではありません。

とはいえ、これは「だから誰でも大丈夫」という意味ではありません。経験がない人が多いという事実と、その人たち全員が問題なく登れているかどうかは、別の話です。

ここから先は、あなた自身の状態を、3つの軸で確認していきましょう。

自己診断チェックリスト|今のあなたは、どのあたりにいますか

確認する軸は3つです。

  1. 体力
  2. 準備期間
  3. 高山病(体力・経験と関係なく起こることがあります)

①体力|普段、どれくらい体を動かしていますか

まずは、次の3つの質問に答えてみてください。

  • 階段を、休まず3階分くらい上れますか
  • 普段、1回30分以上歩く・体を動かす習慣がありますか
  • 休日に2〜3時間、休憩を挟みながら歩き続けたことがありますか

3つとも「はい」なら、体力面の不安は比較的小さいと言えます。

1つでも「いいえ」があっても、今すぐあきらめる必要はありません。残された準備期間によって、埋め方が変わります。これは後半の逆算表で扱います。

参考までに、実際の富士登山にかかる時間感覚もお伝えしておきます。

代表的な吉田ルートの所要時間は、登り約6時間10分、下り約3時間35分。この2つを足し算すると、休憩を含めない歩行時間だけで合計約9時間45分になります。御殿場ルートは登り約8時間40分、下り約3時間30分で、同じように合計すると12時間を超えます。

ここに休憩や渋滞、山小屋での滞在時間が加わります。行動時間トータルで10時間を超えることは、珍しくありません。先ほどのチェックの答えと合わせて、心づもりをしておいてください。

②準備期間|本番まで、あと何日ありますか

次に、実際の日数を数えてみてください。

「今年の富士登山まで、あと何日か」。カレンダーを見ながら、具体的な数字を出しておいてください。

この日数が、このあと紹介する逆算表を読むときの、あなた自身の入り口になります。

③高山病|体力や経験と関係なく起こることがあります

3つ目は、少し毛色が違います。

高山病(急性高山病、AMS)は、体力や登山経験の量だけでは防ぎきれない部分があるリスクだからです。

山梨県富士山科学研究所の研究をもとにした記事によると、発症率は調査によって約3割から45%までばらつきがあります。研究ごとに条件や対象が異なるため単一の数字として断定はできませんが、富士山では高山病になる人が珍しくない、という点は共通しています。(出典:竹内内科小児科医院のブログ記事、2026年5月公開。堀内雅弘氏らの研究をもとに紹介されています)

富士登山オフィシャルサイトも、こう説明しています。

富士登山で登頂を断念せざるを得なくなる最も多い理由のひとつが高山病です。

出典:富士登山オフィシャルサイト「山で注意すべき体調不具合」

体力に自信がある人でも、高山病にはなります。逆に、体力に不安がある人が高山病にならないまま登頂することもあります。①②の結果だけで「絶対に大丈夫」とは言い切れない理由が、ここにあります。

①②で行けそうだと分かった後も、③は「知っておくべきリスク」として、頭の片隅に置いておいてください。対策は、このあとの分岐の中で具体的に説明します。

自己診断からの流れ 1 体力 階段・普段の運動習慣を3つ確認 2 準備期間 本番までの残り日数を数える ①②の答えは、どちらに近いですか A 大きな不安はない →「今シーズン、狙えそうです」へ B 不安が残る・期間も厳しい →「無理をしない」という選択も A・Bどちらに進んでも、共通で知っておくこと 3 高山病 体力や経験だけでは防ぎきれません
自己診断からの流れ。①②の答えがどちらに近いかで、この先「狙えそうです」「無理をしない」のどちらを読むか決められます。③高山病は、どちらに進んでも共通で知っておくべきリスクです。

「今シーズン、狙えそうです」というあなたへ

①体力に大きな不安がなく、②準備期間もある程度残っている。そんな方は、このまま今シーズンを狙って大丈夫です。

ここからは、何をいつまでにやればいいかを、具体的に見ていきます。

残り期間から逆算する、やることリスト

「◯ヶ月前から始めましょう」という言い方は、残り3週間しかない人には、あまり役に立ちません。

そこで今日から本番までの残り日数ごとに、やるべきことと、今シーズン間に合うかどうかを整理しました。

残り期間やるべきこと今シーズン間に合うか装備の準備
3ヶ月以上ウォーキングや階段の上り下りを週2〜3回。慣れたら荷物を背負って歩く。可能なら日帰りで低い山を1〜2回歩いておく十分間に合う早めの予約で選択肢が広がる
1〜2ヶ月週2〜3回のウォーキング・階段。休日に2〜3時間、荷物を背負って歩く練習を1〜2回間に合う。不安が残るなら1泊2日以上でゆっくりめの日程にセット内容を早めに確認
2〜3週間新しく体力をつけるより、エレベーターを階段に、一駅分歩くなど生活の中の活動量を上げる。睡眠を優先条件つきで間に合う
運動習慣がほぼ無い人は要再検討
1週間前までの予約が目安
1週間未満新たに体力をつける時間はない。直前の激しい運動は避け、睡眠と体調管理を優先今シーズンは難しいことも在庫があれば借りられるがサイズ交換は不可のことがある
今回、富士登山オフィシャルサイトの案内と、装備レンタル各社の受付条件を調べて整理しました(2026年8月時点)。運動習慣や体力には個人差があるため、あくまで目安です。

表の「間に合うか」は、①の体力チェックである程度「はい」がついていることが前提です。③の高山病だけは、どの期間から準備を始めても、防ぎきれるとは言い切れません。対策は次の項目で説明します。

体力づくりと同時に、道具の準備も進める

体力づくりと並行して、装備の準備も進めておきましょう。

富士山に必要な装備を一から買いそろえると、安く見積もっても約7万円、こだわると14万円を超えます(2026年8月時点)。レンタルの料金とセットの中身をまとめた記事を見ると、初めての1回ならレンタルのほうが現実的だと分かると思います。

持ち物は、富士登山の持ち物チェックリストにまとめてあります。装備と合わせて、出発前に確認しておいてください。

高山病への備えは、気合いや装備では終わりません

③で説明した通り、高山病は装備で防げるものではありません。

富士登山オフィシャルサイトが挙げる対策は、次の通りです。

  • ゆっくりした一定のペースで歩く
  • 出発前に五合目付近で1〜2時間、体を高度に慣らす時間を取る
  • こまめな水分補給(真水よりスポーツ飲料が有効とされています)
  • お腹からしっかり息を吐き出す深呼吸

パルスオキシメータで血中酸素濃度を測る方法も紹介されていて、90%を下回ると注意のサイン、80%を下回ると危険なサインで、その場合は至急下山すべきとされています。(出典:富士登山オフィシャルサイト「山で注意すべき体調不具合」

頭痛やめまいなど体調に違和感が出たら、無理に登り続けず、その場で休むか高度を下げてください。高度を下げることが、もっとも効果的な対処とされています。

これらを実践しても、発症をゼロにできるわけではありません。「対策すれば絶対にならない」という保証はどこにもないという前提で臨んでください。

「今シーズンは、無理をしない」という選択も

①の体力チェックに「いいえ」が複数あり、②の準備期間も十分に取れない。そんな場合は、無理に今シーズンを狙わない選択も、十分にありです。

見送る判断は、失敗ではありません。富士山は逃げません。

まずお金をかけずにできること

まずはお金をかけずにできることから始めてみてください。

近所の低い山を、日帰りで歩いてみる。あるいは、駅の階段を使う、一駅分歩くといった、日常の中の運動量を今日から少しずつ増やす。

装備をそろえる前に、まず自分の体力と歩き方を知ることが先です。ここで無理に道具をそろえても、体力そのものは変わりません。

来年に向けてサポートを受けるという方法

独学での準備に不安があるなら、段階を踏んでサポートしてもらう方法もあります。

クラブツーリズムの「富士山に登り隊」は、月1回程度の登山を重ねながら、段階的に富士山を目指すツアー企画です。ガイドや添乗員が同行するため、ペース配分や体調の変化に、一人で判断するより気づいてもらいやすくなります。

ただし、ガイドが同行しても、高山病そのものを防げるわけではありません。あくまで、ペース管理や体調の異変に早く気づいてもらえる、というサポートです。

クラブツーリズムの「富士山に登り隊」を見てみる

お金をかけない準備と、サポートを受ける準備。どちらを選んでも、来年の富士山に、今シーズンより近づいた状態で挑めます。

よくある質問

残りわずかな期間でも間に合いますか?

期間によります。1週間を切っている場合、新しく体力をつけることは難しいので、無理のない日程に変更するか、来シーズンに回すことも検討してください。2〜3週間あれば、生活の中の運動量を増やすだけでも変わってきます。詳しくは本文の逆算表を参考にしてください。

高山病になりやすい人の特徴はありますか?

「この人は必ずなる」と言い切れる特徴は確立されていません。若年層で発症率・重症度が高い傾向を報告した研究もありますが、体力や年齢に関係なく起こることがある、という前提で備えるほうが安全です。

体力に自信がなくても、ツアーに参加すれば安心ですか?

ガイドの同行によって、ペース配分や体調の変化に気づいてもらいやすくなるのは事実です。ただし、高山病そのものを防げるわけではありません。体力面の不安が大きい場合は、まず低い山での足慣らしから始めることをおすすめします。

途中で登れなくなったらどうなりますか?

山小屋や救護所で休む、高度を下げるといった対応が基本です。富士登山オフィシャルサイトも、登頂にこだわらず「安全に家に帰ることを最優先」にするよう案内しています。無理に登り続けることが、一番避けたい選択です。

普段まったく運動していませんが、今日から何をすればいいですか?

まずは階段を使う、一駅分歩くといった、生活の中でできることからで十分です。本番までの残り日数によって、そこから先にやるべきことが変わります。本文の逆算表で、自分の残り日数に近い行を確認してみてください。

まとめ

  • 富士登山が「初めて」の人は56.8%。経験がないのは、あなただけではない
  • ①体力②準備期間③高山病、3つの軸で自分の状態を確認する
  • ③高山病だけは、体力や経験だけでは防ぎきれない
  • 残り期間から逆算すれば、今からでもできることが見える

行けそうだと分かった方は、装備のレンタルから準備を進めてみてください。

今シーズンは見送ると決めた方も、ここまで読んで自分の状態を確認できたこと自体が、来年への準備の第一歩です。近所の低い山を歩く、階段を使うといった、お金をかけずに今日から始められることから、少しずつ始めてみてください。

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