雪山や残雪期の登山を始めると、必ずといっていいほど出てくるのが「ワカンとスノーシュー、どっちを買えばいいのか」という悩みです。
どちらも足に着けて雪の上を歩くための道具なので、見た目だけでは違いが分かりにくいですよね。
実はこの2つ、向いている地形がはっきり分かれています!
「ワカンとスノーシュー、結局どっちを買えばいいの?」
「行く山によって向き不向きがあるって聞いたけど、何を見て選べばいいんだろう」
今回は、この2つの向き不向きを地形の面から整理していきます。
- ワカンとスノーシュー、地形によって向き不向きが変わる理由
- 迷ったときにまず見るべき目安
- 買うなら、借りるなら、何を選べばいいか
結論——行き先の地形で先に決める
先に結論を言うと、選ぶ基準は「その山にアイゼンが要るかどうか」です。
- 樹林帯や急な登りが多く、アイゼンが必要になるような斜面がある山 → ワカン
- アイゼンを使わない、なだらかな雪原やバックカントリー(圧雪されていない、スキー場の外の斜面)の広い斜面 → スノーシュー
ただ、道具が地形に合っていても、雪山の経験や技術、体力の代わりにはなりません。そこは先に押さえておきましょう。
そもそも買うべきか、借りて済ませるべきかで迷っているなら、その判断は別の記事雪山の装備は買うか、レンタルで試すかにまとめています。今回はここには踏み込まず、「買うにしても借りるにしても、自分の行き先にはどちらが合うか」だけに絞って書いていきますね。
まずは自分の行き先で試してみたいという人は、やまどうぐレンタル屋でワカン・スノーシューの料金を見る
のが早いです。両方とも扱っているので、比べながら選べます。
アイゼンと一緒に使うかどうかで、向き不向きが決まる
ワカンとスノーシューの違いは、浮力の大きさだけでは語れません。
もっと分かりやすい分かれ目は、アイゼンと一緒に使うことを想定しているかどうかです。
①ワカンは、アイゼンが要る斜面のための道具

アイゼンが無いと登れないような急な斜面や、ピッケルが要るくらい危険度の高いルートでは、スノーシューよりワカンの方が向いています。
ワカンは、ひっくり返してアイゼンの上に重ねて使えるからです。
ワカンには、つま先とかかとが平らな「フラット型」と、両端が反り上がった「反り付き型」があります。アイゼンと重ねて使うなら、フラット型を選びましょう。反り付き型はアイゼンとの併用には向いていません。
②スノーシューは、アイゼンを使わない雪原向き

反対にスノーシューは、アイゼンやピッケルを使わないような雪山歩き、なだらかな雪原でのハイクに向いた道具です。
スノーシューにもサイズの違いがあり、選び方の目安はもう一段あります。小さいサイズほど軽くて取り回しがよく、急な登りや樹林帯のような変化の多い地形で歩きやすいです。ただし、これはあくまでアイゼンを使わない地形の中での話です。アイゼンが要るような斜面では、サイズに関わらずスノーシュー自体が選択肢に入りません。逆に、ふかふかの新雪が積もった開けた雪原を歩くなら、サイズが大きく浮力が高いものの方が沈みにくくなります。
行き先が決まっているなら、その地形に合わせてサイズも選んでみましょう。
地形別の比較表
| 地形 | 向いている道具 | アイゼンとの相性 |
|---|---|---|
| 樹林帯・急な登り。アイゼンが要る斜面がある | ワカン | フラット型ならアイゼンに重ねて使える |
| なだらかな雪原・バックカントリーの広い斜面 | スノーシュー | アイゼンを使わない前提の道具 |
自分の行き先がどちらに近いか、地図やコース情報で確認してみましょう。両方の要素が混じるコースなら、より頻度高く出てくる地形の方に合わせるのが無難でしょう。
迷ったら、まず借りて試すのが安全です。やまどうぐレンタル屋でワカン・スノーシューの料金を見る
と、両方の相場が分かります。
私がワカンを選び、スノーシューを持っていかない理由
ここからは私自身の話です。
私がワカンを買ったのは、傾斜があって、雪が降っていて、それなりに積もっている山に行くことになったからでした。
使っているのは、MAGIC MOUNTAIN(マジックマウンテン)のラッセルXというフラット型のワカンです。実際の山では、これをアイゼンと組み合わせて使っています。

①スノーシューは検討したうえで選ばなかった
スノーシューは、比較的なだらかな雪原などを歩くときに使う道具です。私が登る山では、あまり使いどころがありませんでした。
加えて機動力を考えると、ワカンの方が合っていました。そこでスノーシューは買わず、ワカンを選んだという経緯です。
これは私が自分の行き先で判断した結果で、スノーシューが登山に向かないという話ではありません。なだらかな雪原によく行く人なら、スノーシューの方が正解かもしれません。
②使ってよかったのは、膝下まで埋まるような雪の場面
ワカンが無ければ膝下ぐらいまで埋まってしまうような雪の場所でも、ワカンを履いているとあまり沈まず、比較的楽に歩けました。
ただ、私がワカンを使うのは年に1〜2回程度です。スキーを持ってバックカントリーをすることが多く、ワカンの出番自体があまり多くありません。
逆に言えば、なだらかな雪原を歩く山によく行く人や、ほかに浮力を確保する装備を持っていない人なら、こうした浮力装備の出番はもっと多くなるはずですね。
買うなら、地形以外にも見ておきたい点
行き先の地形で「ワカンかスノーシューか」が決まったら、次に見るのは対応する靴のサイズと、重さです。
①対応する靴のサイズを確認する
スノーシューは、靴を固定する金具(ビンディング)が対応するサイズの範囲でしか使えません。TUBBS FLEX VRT 25の場合、対応する登山靴のサイズは22.0〜34.0cmです。自分の靴のサイズがこの範囲に入るか、買う前に確認しておきましょう。
ワカンはベルトで足に固定するタイプが多く、靴のサイズ範囲はスノーシューほどシビアではありません。ただし冬用の厚手のブーツで履くことになるので、普段のサイズより余裕を見ておくと安心です。
②重さと収納サイズ
| 項目 | ワカン(MAGIC MOUNTAIN ラッセルX) | スノーシュー(TUBBS FLEX VRT 25) |
|---|---|---|
| サイズ | 450×190mm | 20×64cm |
| 重さ(公称値) | 1点500g | ペアで1.98kg |
| 参考価格(税込) | 16,000円程度 | 39,600円程度 |
単純な軽さだけで選ぶなら、ワカンに分があります。ただしこれは地形が合っている場合の話です。行き先に合わない道具は、軽くても出番がありません。
向いている人:アイゼンを併用する急な斜面や、樹林帯が多い山に行く人。
注意点:販売店によっては品切れになっていることがあります。買う前に在庫を確認してください。
向いている人:なだらかな雪原やバックカントリーを歩く人。
注意点:同じ「FLEX VRT」でもサイズ違いがあり、価格も変わります。型番まで確認してから買ってください。
このTUBBS FLEX VRT 25は、やまどうぐレンタル屋が貸し出しているのと同じ型番です。借りて試したものと、買うものを同じにできるので、サイズ感で失敗したくない人には向いていると思います。
レンタルという選択肢(1泊2日の目安)
行き先の地形は分かったけれど、まだ買うかどうか迷っている。そんなときはレンタルで様子を見るのも手です。

| 装備 | 1泊2日(配送)の目安 |
|---|---|
| ワカン | 2,727〜3,636円 |
| スノーシュー | 2,727〜3,636円 |
ワカンもスノーシューも、同じ店で借りられます。地形に合わせてどちらか一方だけ借りることもできますし、迷っているなら両方借りて、自分の足で違いを確かめてから買うのでも遅くありません。
よくある質問
まとめ
- 選ぶ基準は「その山にアイゼンが要るかどうか」
- アイゼンが要る急な斜面や樹林帯にはワカン、アイゼンを使わないなだらかな雪原やバックカントリーにはスノーシュー
- ワカンのフラット型はアイゼンと併用できる。反り付き型は併用に向かない
- スノーシューはサイズによっても向き不向きが変わる。小さいほど急登・樹林帯向き、大きいほど深雪の雪原向き
- 迷ったら、買う前にレンタルで自分の行き先に合うか試してみる
私自身は、傾斜があって雪が積もる山に行くことが多いので、機動力を考えてワカンを選びました。スノーシューも検討はしましたが、私の行き先ではなだらかな雪原を歩く場面が少なく、結局買わなかったという判断です。
行く山が変われば、選ぶ道具も変わって当然です。まずは自分の行き先の地形を思い浮かべて、そこに合う方を選んでみましょう。
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