鈴鹿セブンマウンテンのどれかに登ろうと思って調べていたら、「ヒルが出る」という体験談ばかり出てきて、不安になった。そんな方に向けて書いています。
結論から言うと、鈴鹿の中でもヒルの多さは山によってかなり違います。とくに藤原岳はヒルが多く、御在所岳は比較的少ないことが分かっています。この記事では、その理由と、7座それぞれの傾向、藤原岳の中でも特に注意したい場所までまとめました。
「今度登るのは御在所岳だけど、ヒルは平気なのかな」
「藤原岳に行くつもりだけど、対策は何を用意すればいいんだろう」
そんな疑問に、山ごとに答えていきます。
- 鈴鹿セブンマウンテン7座のうち、ヒルが多い山と少ない山
- 藤原岳に多く、御在所岳に少ない傾向とその背景(岩質の違い)
- ヒルが出やすい時期
- 藤原岳の中でも、特に注意したい登山道
- 寄せ付けないための対策と、噛まれたときの対処

鈴鹿セブンマウンテンでヒルが多いのは藤原岳。御在所岳は少ない
まず、鈴鹿セブンマウンテン(藤原岳・竜ヶ岳・釈迦ヶ岳・御在所岳・雨乞岳・鎌ヶ岳・入道ヶ岳の7座)の中での傾向です。
ヒルが特に多いのは藤原岳。隣接する御池岳・霊仙山(どちらもセブンマウンテンには入っていない山)も同じ傾向です。一方で、御在所岳は鈴鹿の中では比較的ヒルが少ない山です。
藤原岳と御在所岳を比べると、ヤマビルは藤原岳のほうが明らかに多いことが分かっています。次の章で説明する岩質の違いが関係していると考えられています。
残りの竜ヶ岳・釈迦ヶ岳・雨乞岳・鎌ヶ岳・入道ヶ岳は、稜線を歩く分にはそれほど心配はいらなさそうですが、谷筋を通るルートの一部でヒルの報告があります。どの山のどのルートかは、あとの比較表にまとめました。
なぜ藤原岳は多く、御在所岳は少ないのか
同じ鈴鹿山脈なのに、なぜここまで差が出るのか。岩質の違いが関係していると考えられています。
①藤原岳は石灰岩・アルカリ性
藤原岳は石灰岩でできた山です。石灰岩の土壌はアルカリ性に傾きやすく、藤原岳の水質はpH8.3(アルカリ性)です。
藤原岳に隣接する御池岳・霊仙山も同じ石灰岩帯にあり、同じ傾向があります。ただしこの2山はセブンマウンテンには含まれません。あくまで藤原岳と地質がつながっている、隣の山という位置づけです。
②御在所岳は花崗岩・酸性
一方の御在所岳は花崗岩でできた山です。御在所岳の水質はpH6.2(酸性)です。

ヒルは石灰岩質の環境を好み、花崗岩質は苦手という調査結果があります。つまりヒルはアルカリ性の土壌を好む可能性がある、と考えられています。藤原岳の環境はヒルにとって都合がよく、御在所岳の環境はそうでもない、という見方です。ただし詳しい仕組みはまだ研究中で、確定した結論ではありません。
鈴鹿セブンマウンテン7座、山ごとのヒルの多さ
ここまでの情報と、鈴鹿山脈のヒルをまとめているMountain Travel Japanの記事をあわせて、7座の傾向を表にしました。
| 山 | 岩質 | ヒルの出没傾向 | 特に注意したいルート |
|---|---|---|---|
| 藤原岳 | 石灰岩 | 多い | 大貝戸道・聖宝寺道の8合目以南 |
| 竜ヶ岳 | — | 谷筋で報告あり | 石榑峠〜長尾滝 |
| 釈迦ヶ岳 | — | 谷筋で報告あり | 松尾尾根・伏木谷 |
| 御在所岳 | 花崗岩 | 少ない | — |
| 雨乞岳 | — | 谷筋で報告あり | クラ谷 |
| 鎌ヶ岳 | — | 谷筋で報告あり | 宮妻峡・カズラ谷 |
| 入道ヶ岳 | — | 谷筋で報告あり | 井戸谷 |
釈迦ヶ岳は松尾尾根・伏木谷、鎌ヶ岳は宮妻峡・カズラ谷で、ヤマビル研究会への報告があります。ただしどちらも藤原岳のように「多い」とまで言い切れる情報量ではなく、谷筋の一部で報告があるという段階です。
竜ヶ岳・釈迦ヶ岳・雨乞岳・鎌ヶ岳・入道ヶ岳は、山全体というより谷沿いのルートに限って報告があるという点が共通しています。逆にいえば、稜線を歩くルートを選べば、リスクは下がると考えられます。
ヒルが出やすい時期
鈴鹿山脈でヒルが出没するのは5月ごろから11月ごろまでで、特に6〜8月の雨の日や雨上がりに多く出没します。ヒルは温かくて湿った場所を好むので、梅雨から盛夏にかけてがいちばん注意が必要な時期ということになります。
逆に、藤原岳は2月下旬から4月ごろにかけて福寿草が見頃を迎え、花目当てで登る人も多い山です。この時期はヒルの活動期からは外れているので、花を見に行くだけなら、夏ほど神経質になる必要はなさそうです。
藤原岳で特に多いのはどのあたりか
藤原岳に登るなら、特に注意したいのは大貝戸道と聖宝寺道の、8合目より下の樹林帯です。この2つの登山道は8合目で合流しますが、そこから下の湿った区間でヒルの被害が多く報告されています。
逆に言うと、8合目から上の稜線に出てしまえば、環境は乾いていて日当たりもよくなるので、ヒルに遭う可能性はぐっと下がります。対策が必要なのは、登り始めから8合目までと考えておくとよさそうです。
竜ヶ岳の石榑峠〜長尾滝、雨乞岳のクラ谷、入道ヶ岳の井戸谷も、同じように谷沿いを通るルートです。鈴鹿全体を通して「谷筋・樹林帯は注意、稜線・尾根道は比較的安心」という傾向があると考えてよさそうです。

ヒルを寄せ付けない持ち物と対策
対策の基本は、肌を出さないことと、ヒル専用の忌避スプレーを使うことです。
長袖・長ズボンにして、靴下は登山用の長いものにする。ズボンの裾は靴の中に入れるか、靴とズボンの間に隙間ができないようにする。ヒルは地面や落ち葉の下から這い上がってくるので、隙間があるとそこから入り込みます。休憩のときに、地面へ直接ザックを置いたり座り込んだりしないのも効果的です。
そのうえで使いたいのが、ヤマビル専用の忌避スプレーです。
市販の虫除けスプレーの多くは蚊やマダニ向けで、ヒルには効きにくいと言われています。ヒル下がりのジョニーは、ヤマビル対策として登山者の間でよく使われているスプレーです。虫除けスプレーによく使われる成分「ディート」は使われておらず、靴・靴下・ズボンの裾など「入り口」になりやすい場所に吹きかけて使います。地肌には使わず、革製品には使わないでください。
藤原岳1回だけの利用なら、こちらの単品で十分です。
複数の山を回る予定があるなら、こちらのセットのほうが持ちがよく、単価も下がります。
ズボンの裾から入り込むのを防ぐには、スパッツ(ゲイター)で靴とズボンの間そのものをふさいでしまう方法もあります。今回は商品の紹介まではしませんが、「隙間をなくす」という考え方は覚えておいて損はありません。
噛まれたときの対処
対策をしていても、噛まれる可能性はゼロにはなりません。ヒルは噛むときに麻酔のような物質を出すため、噛まれた瞬間は痛みがなく、気づかないことも多いです。
気づいたら、すぐにはがしてください。「無理にはがすと傷口が大きくなる」と思われがちですが、それは誤解で、虫除け剤をスプレーすれば簡単にとれます。皮膚に口が残ってちぎれるのはマダニの話で、ヤマビルではそうなりません。血が固まりにくくなる成分(ヒルジン)を出されるため傷口から出血が続きますが、量そのものはわずかで、命に関わるものではありません。
応急処置の詳しい手順や、噛まれたあとにかゆみが出たときの薬の使い方までは、この記事では触れていません。ヒルの生態や、対策・対処法をもっと詳しく知りたい方はこちらにまとめているので、あわせて読んでみてください。
よくある質問
まとめ
- 藤原岳(隣接する御池岳・霊仙山も同様)はヒルが多く、御在所岳は比較的少なめです。ただし御在所岳もゼロではありません
- 岩質の違い(石灰岩・アルカリ性か、花崗岩・酸性か)が関係していると考えられています
- 活動期は5〜11月ごろ。特に6〜8月の雨の日・雨上がりに活発になります
- 藤原岳なら、大貝戸道・聖宝寺道の8合目より下の樹林帯が特に注意したい区間です
- 対策の基本は、肌を出さないことと、ヒル専用の忌避スプレーです
行く山と時期が分かれば、必要な対策も自然と決まってきます。準備を整えて、鈴鹿の山を楽しんでください。
鈴鹿だけでなく、丹沢のヒル対策もあわせて読んでおくと、山域ごとの違いがつかみやすくなると思います。
ヒル以外の虫も含めて、登山で使う虫除けスプレーを比較したい方は、虫除けスプレーの比較記事も参考にしてください。


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